9~10月は外国人が日本株をあわてて買ったり売ったり、焦点が定まらない

 外国人売買に、日本株が翻弄される状況が続いています。特に先物売買に振り回されています。

外国人投資家による日本株の現物・先物買い越し・売り越し状況:2018年9月第1週~10月第2週

出所:東京証券取引所データより、楽天証券経済研究所が作成。先物売買は、日経平均先物、ミニ日経平均先物、TOPIX先物、ミニTOPIX先物の売買合計

 9月第1週は、外国人が、現物・先物合わせて1兆577億円も売り越しました。この時外国人は、中国株と同様、日本株にネガティブな投資判断をしていたと考えられます。ところが9月第3週には、外国人は一転して1兆4,702億円も買い越しています。先物で1兆1,932億円も買い越していることが目を引きます。突然、外国人の短期筋が日本株に強気になったと考えられます。日米貿易戦争が、日本にとってそんなに悪い結末にならないとの見方が出てきたこと、円安進展で日本企業の業績改善が見込めることから、「米国株と並び、日本株にも一定のポジションを持つ必要がある」と判断したようです。

 ところが、外国人の先物売買は焦点が定まりません。10月第2週(9~12日)にはなんと、1兆4,890億円も売り越しています。9月第3週に買った先物を、損失を出しながら売ったと考えられます。米長期金利上昇・中国の景気不安を受けて、「やっぱり日本株はあまり持つべきでない」と判断が変わったようです。10月3週は、まだ外国人売買のデータが出ていません。

これから始まる9月中間決算に、外国人がどう反応するか注目

 日本株の投資判断をどうすべきか、外国人も迷っていると思われます。今後の外国人の日本株売買に大きな影響を与えそうなのが、これから始まる9月中間決算です。

 9月中間決算で、今期(2019年3月期)の業績予想引き上げが増えると、日本株の見直しにつながるでしょう。ただし中国景気減速の影響が大きく、円安が進んだ割に業績の上方修正が少ないと、警戒感が広がります。しばらく企業業績から目が離せません。

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