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 2018年9月25日~26日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利の引き上げが決定されました。『FOMC議事要旨』によれば、今後も「緩やかな利上げの継続が妥当」で概ね一致しました。「どこまで政策金利を引き上げるべきか」については、参加者の間で意見が分かれましたが、景気を刺激も抑制もしない、いわゆる中立金利を一時的に上回る必要があるとの見方が多数を占めたもようです。

 

【ポイント1】経済見通しは据え置き

金融環境は引き続き緩和的

 公表された議事要旨によれば、ほとんどのFOMC参加者が、「経済は力強い速度で成長、物価上昇率は+2%近傍で推移」との評価を据え置きました。金融環境については、金利や米ドルの上昇はあったものの株価の上昇等で相殺され、引き続き緩和的と見る参加者が多数を占めました。

 

【ポイント2】政策金利を景気にやや抑制的な水準まで引き上げる必要

景気抑制的な政策姿勢への反対意見も散見

 先行きの金融政策については、「緩やかな利上げの継続」で概ね一致しました。今回の会合では、さらに「どこまで政策金利の引き上げを進めるべきか」についての議論も交わされたもようです。

 多数派は、「長期的に経済に対して中立と見られる水準(景気を刺激も抑制もしない中立金利の水準)を一時的に上回る必要がある」との意見でした。

 一方、「一時的にやや引き締め気味の状態にするべき」と主張する参加者が数名いたほか、「景気や物価に上振れの徴候が見られない限り、景気抑制的な政策姿勢を採用することは支持できない」と述べる参加者も2~3名いました。

 

【今後の展開】「金融政策の姿勢は緩和的」との表現は削除

 9月に開催されたFOMC直後に公表された声明文では、従来の「金融政策の姿勢は、引き続き緩和的である」との文言が削除されました。今回の議事要旨によれば、この文言が削減されることによって、将来の金利予想が変わるわけではないことが示されました。

『FOMC議事要旨』から、多くの参加者が中立金利を上回る水準までの利上げ継続を支持していたことが判明しましたが、ドットチャートでは19年、20年の政策金利が、中立金利と推計される3%を上回るとの見方が示されていたことを踏まえると、特に新しい材料ではないと言えます。