中国景気への不安から、「中国関連株」が売られる

 先週の日経平均株価は、1週間で162円下落し、2万2,532円となりました。先々週、日経平均が1,089円下落したのは、米長期金利の上昇を嫌気したNYダウの急落が原因です。先週は米金利上昇のショック売りが一巡し、日経平均はいったん反発しました。ところが、中国の李克強首相が、中国景気の悪化を認めたと伝わり、上海総合株価指数の下げが加速すると、中国景気に対する不安から日経平均も売られました。

 日本株は、長期投資で買い場を迎えていると考えていますが、買いタイミングは慎重に選ぶ必要があります。

日経平均週足:2017年10月2日~2018年10月19日

 

 日経平均は、あいかわらず2つの不安に振り回されて、乱高下しています。貿易戦争がエスカレートする不安と、米金利上昇が世界株安につながる不安です。

 10月は米長期金利上昇ショックで世界株安となり、日経平均も売られました。貿易戦争については、「日本にとってそんなに悪い結末にならない」と楽観論も出ていました。ところが先週は、貿易戦争の影響が中国景気に出ているとの見方が広がり、日本株の売り材料となりました。

 米中貿易戦争の影響で、中国の民間設備投資にブレーキがかかっている模様です。その影響を受けて、日本の中国関連株の、中国からの受注減速が鮮明になりつつあります。

 昨年、日本の産業用ロボットや工作機械に対し、中国から受注が殺到。中国による「ロボット爆買い」と言われる注文が流れ込んでいました。ところが今年は一転して、受注に減速感が出ています。既にその影響が、安川電機(6506)ハ-モニック・ドライブ・システムズ(6324)など、日本の「中国関連・設備投資関連株」に表れています。

NYダウも日経平均と同じ動き

 NYダウも日経平均と同じ動きとなっています。

NYダウ週足:2017年10月2日~2018年10月12日

 

下げ止まらない上海総合株価指数が不安を増幅

 米国、日本、中国の株価指数を比較すると、今年は、米国が一番強く、次に日本がしっかりしています。一方、中国株は弱さが目立ちます。上海総合株価指数が下げ止まらないことが、中国景気への不安を高めています。

日米中の株価指数の動き比較:2017年末~2018年10月19日

出所:2017年末を100として指数化、楽天証券経済研究所が作成

9~10月は外国人が日本株をあわてて買ったり売ったり、焦点が定まらない

 外国人売買に、日本株が翻弄される状況が続いています。特に先物売買に振り回されています。

外国人投資家による日本株の現物・先物買い越し・売り越し状況:2018年9月第1週~10月第2週

出所:東京証券取引所データより、楽天証券経済研究所が作成。先物売買は、日経平均先物、ミニ日経平均先物、TOPIX先物、ミニTOPIX先物の売買合計

 9月第1週は、外国人が、現物・先物合わせて1兆577億円も売り越しました。この時外国人は、中国株と同様、日本株にネガティブな投資判断をしていたと考えられます。ところが9月第3週には、外国人は一転して1兆4,702億円も買い越しています。先物で1兆1,932億円も買い越していることが目を引きます。突然、外国人の短期筋が日本株に強気になったと考えられます。日米貿易戦争が、日本にとってそんなに悪い結末にならないとの見方が出てきたこと、円安進展で日本企業の業績改善が見込めることから、「米国株と並び、日本株にも一定のポジションを持つ必要がある」と判断したようです。

 ところが、外国人の先物売買は焦点が定まりません。10月第2週(9~12日)にはなんと、1兆4,890億円も売り越しています。9月第3週に買った先物を、損失を出しながら売ったと考えられます。米長期金利上昇・中国の景気不安を受けて、「やっぱり日本株はあまり持つべきでない」と判断が変わったようです。10月3週は、まだ外国人売買のデータが出ていません。

これから始まる9月中間決算に、外国人がどう反応するか注目

 日本株の投資判断をどうすべきか、外国人も迷っていると思われます。今後の外国人の日本株売買に大きな影響を与えそうなのが、これから始まる9月中間決算です。

 9月中間決算で、今期(2019年3月期)の業績予想引き上げが増えると、日本株の見直しにつながるでしょう。ただし中国景気減速の影響が大きく、円安が進んだ割に業績の上方修正が少ないと、警戒感が広がります。しばらく企業業績から目が離せません。

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