金投資で覚えておきたい注意点!

金=安全という神話を妄信しないこと!

“不安の対極に金が存在する”のように語られる金ですが、金が100%、不安を払しょくしてくれたり、株価の下落を補ってくれたり、リスク回避を主導してくれるわけではありません。

“お守り代わりに金を持つ”、などと耳ざわりのよいフレーズを耳にすることがありますが、これは金に過剰な期待を着せようとする人間の心情を逆手に取った言葉だと筆者は考えています。金は完璧な存在ではありません。金とて、価格が上昇したり下落したりするリスク資産なのです。

 リスクが絶えない現在、金投資が度々見直されることがありますが、過去のレポート「トロフィーの値段は2,000万円!?13年で3倍、その変化から金相場を探ろう」で書いた、金の変動要因は年々、多様化・多層化している点を念頭に置く必要があると筆者は考えています。

投資の注目ポイント

景気・新興国・ドル動向以外の新しいリスク要因も登場

 金と聞くと、「安全資産(セーフヘブン/Safe Heaven)」、「最後の拠り所(ラストリゾート/Last Resort)」などという言葉を連想する人は少なくないと思います。しかし、金市場の変動要因は多様化・多層化しており、一概に安全とも拠り所とも言えない場面が散見されます。つまり、株価下落=金価格上昇、とはならないことがあるということです。金投資においては、リスクだけではなく、景気・新興国・ドルの動向にも目を配ることが非常に重要です。

 ただ、リスクが金価格の変動要因でなくなった訳ではありません。昨今では、トルコのサウジアラビア領事館で起きたサウジ記者の殺害事件の影響が世界規模になったことを受け、サウジと米国の同盟関係が不安定化しつつあります。

 これまでに見られなかった“新たなリスク”が発生し、金価格は一時上昇する場面が見られました。その他、新たなリスクとしては情報技術が進んだ現代社会だからこそ脅威となるリスクもあります。

 例えば、大規模なサイバーテロや電磁パルスなどによる広範囲におよぶ電子機器への攻撃です。現代社会の生命線とも言える電子機器、そしてそれらをつなぐネットワークを無効化する、あるいはネットワーク上から価値のある情報を大量に盗み出すなどの攻撃は、技術革新が進んだ現代社会ならではの「新たなリスク」と言えます。

 リスクとは武力を用いた行動だけを指すわけではありません。今後、これまでにない「新たなリスク」が発生すれば、それらを報じる情報がサプライズ感を伴って世界中を駆け廻り、共同幻想が増大し、金への注目度が高まる可能性があります。

金は今いくら?現在の価値

2000年ごろと比べて価値は4倍以上にも!

出所:CME・TOCOMのデータより筆者作成

 

 私たちの身近にある円建て金価格は2018年10月29日時点で、1グラムあたり4,420円前後です。長期的に見れば1,000円前後で推移していた2000年ごろに比べて4倍以上となっています。

 また、円建て金価格の先行指標とされるドル建て金価格は1トロイオンス(およそ31グラム)あたり1,230ドル前後です。400ドル前後で推移していた2000年ごろに比べて、円建て金同様、4倍以上となっています。

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