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4回の突撃でも突破できない「2万3,000円の壁」 トランプ発言が売り誘う
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

4回の突撃でも突破できない「2万3,000円の壁」 トランプ発言が売り誘う

2018/9/10
・トランプ発言で、円高株安に
・米中・日米貿易戦争がエスカレートする不安が高まる
・トランプ大統領にやや焦りも見える
・8月の米雇用統計が強く、ドル高(円安)に戻す
・新興国通貨の下落続く、中国景気の不安も続く
・日経平均は今しばらく2万2,000円台でもみ合いか
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トランプ発言で、円高株安に

 先週の日経平均株価は、1週間で558円下落し、2万2,307円となりました。8月28日に一時2万3,006円まで上昇しましたが、その後利益確定売りが増え、さらに貿易戦争の不安が高まると下げ足を速めました。7日朝、トランプ大統領が、「(日米通商問題で)日本がどれだけ支払うべきか伝えた途端、(安倍首相との)良い関係は終わるだろう」と発言したと伝わると、1ドル110円台へ円高が進行し、7日の日経平均が大きく下がりました。

日経平均週足:2017年10月2日~2018年9月7日

 

 5月以来、日経平均は「2万3,000円の壁」に4回トライして、4回打ち返されました(赤矢印で表示)。2万3,000円が心理的な上値抵抗線として、重くのしかかっています。

 実は昨年11~12月にも、日経平均は「2万3,000円の壁」に、何回もトライして打ち返されています(赤矢印で表示)。今年の1月に5回目のトライで2万3,000円を抜けて、一時2万4,000円まで上昇しました。

 ところがこの上昇は一時的でした。2月以降、貿易戦争と米金利上昇の不安で、日経平均は再び2万3,000円を割れました。その後、不安が緩和する度に、2万3,000円に4回トライしましたが、いずれも打ち返されて今日に至っています。

米中・日米貿易戦争がエスカレートする不安が高まる

 先週にも発動されると警戒されていた、米国による中国への追加制裁関税は、まだ発動されていません。ただし発動の準備は進んでおり、今週以降、発動される懸念があります。

 米国はすでに、中国からの輸入品500億ドルに制裁関税を課しています。中国はこれに対して、米国からの輸入品500億ドルに報復関税を課しています。トランプ大統領はさらに追加で、今週にも2,000億ドルの輸入品に制裁関税を課す可能性があります。そうなると、中国からの輸入品の約半分に制裁関税がかかることになります。中国はもとより、米国経済にも悪影響を及ぼすと考えられます。

 米中貿易戦争がどこまでエスカレートするのか、今のところ「落としどころ」は見えてきません。

 米中の不安に加えて、日米貿易戦争の不安も高まりました。トランプ大統領が再び、日本に対して、強硬姿勢に転じる兆しがあるからです。ただ、「拳を振り上げて成果を得たら、友好姿勢に転じる」トランプ大統領のやり口は、次第に見え見えになってきています。

 EU(欧州共同体)に対しての交渉でも、拳を振り上げて成果を得たら、友好姿勢に転じています。メキシコ・カナダに対しても矛を収めつつあります。

 日本に対する交渉でも、「一定の成果」が得られれば、友好姿勢に転じると予想されます。トランプ大統領が考える「一定の成果」が何であるか、しばらく手探りが続きそうです。その間、円高が進みやすくなることへの注意が必要です。

トランプ大統領にやや焦りも見える

 トランプ大統領は、11月に中間選挙を控えています。中間選挙前に、米国民にアピールできる成果を得ようと、やや焦っているようにも見えます。

 大統領への包囲網が狭まりつつあることも、焦りにつながっている可能性があります。ロシアゲート疑惑での追及も厳しくなりつつあります。トランプ大統領は、「自分が弾劾されれば株式市場は暴落する」と発言していますが、この発言にも焦りが感じられます。

 また、9月11日に、著名記者によるトランプ政権内部の暴露本「恐怖:ホワイトハウスのトランプ」が出版予定であることも、トランプ大統領をいらだたせています。

8月の米雇用統計が強く、ドル高(円安)に戻す

 7日の東京市場で1ドル110円台に円高が進みましたが、この日のニューヨーク市場では、111円台まで円安に戻りました。この日、発表になった米雇用統計が強かったことから、ドルが買い戻されました。

 もっとも注目度が高い非農業部門の雇用者数は、前月比+20万1,000人と、景気好調と判断できる20万人増のラインを超えました。完全失業率は3.9%と低位に留まりました。インフレ指標として注目される平均時給は、前年比2.9%増と、9年ぶりの高さとなりました。

 雇用統計だけでなく、4日に発表された8月の米ISM製造業景況指数も61.3と、14年ぶりの高い水準でした。足元の米景気が強いことは明らかです。

 これで、9月25~26日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、FRB(米連邦準備制度理事会)が今年3回目の利上げを決定するのはほぼ確実となりました。これが、ドルが買い戻される要因となりました。

 貿易戦争の不安に加え円高が一気に進めば、日経平均は大きく崩れる可能性がありました。とりあえず雇用統計でドルが支えられたことで、目先、日経平均の下値も支えられる可能性があります。

新興国通貨の下落続く、中国景気の不安も続く

 米景気が強く、9月の米利上げがほぼ確実と考えられることから、円高が一気に進むリスクは抑えられました。一方、米利上げに打ち止め感が出ない限り、トルコ、ベネズエラ、アルゼンチン、ブラジル、南アフリカなど、対外負債が大きい新興国の通貨下落には歯止めがかかりません。

 また、中国景気が腰折れする不安も払拭できません。米中貿易戦争は、今のところ米国には大きなダメージを与えていませんが、製造業の比率が高い中国には悪影響を及ぼし始めています。中国政府は公共投資を積み増して景気減速を防ぐつもりですが、それが功を奏するかわかりません。

日経平均は今しばらく2万2,000円台でもみ合いか

 日経平均週足チャートを見ると、2万3,000円の上値がどっしりと重いものの、下値は少しずつ切り上げてきています。そろそろ上か下へブレイクしてもおかしくないくらい、チャートが煮詰まってきています。ただ、まだ好悪材料がきっこうしていて、どちらかにブレイクする条件は整っていないと思います。

 今しばらく狭いレンジでもみ合いが続くと考えています。

 

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