土地にアパートやマンションを建てて賃貸すると相続税対策になるのは有名な話。でも、場合によっては相続税が安くならないことも……。

 

アパート・マンションで相続税が安くなる要素

 所有する土地にアパート・マンションを建てて賃貸することは、代表的な相続税対策の1つです。

 アパート・マンションの賃貸により相続税が安くなる要素としては、次のようなものがあります。
土地の評価額が購入額より安くなる
 土地を新たに購入する場合、例えば5億円で買った土地の相続税評価額が4億円で
  あれば、5億円を現金で保有するよりも相続税が安くなります。

建物の評価額が建築費より安くなる
 建物の評価額は建築費の50%ほどと言われていますから、例えば1億円で建てた建物
  は5,000万円の評価となり、1億円を現金で保有するよりも相続税が安くなります。

建物に貸家としての評価が使える
 賃貸用のアパート・マンションは、貸家として通常の70%の評価となりますから、
  評価額5,000万円の建物なら3,500万円まで下がります。

土地に貸家建付地としての評価が使える
 賃貸用のアパート・マンションの敷地は、貸家建付地として評価され、通常の評価額
  より20%前後下がります。どれだけ下がるかは土地により異なります。

土地に小規模宅地の特例が使える
 以下の説明をご覧ください。

 

小規模宅地の特例とは?

 小規模宅地の特例とは、一定の要件を満たす宅地について、一定の面積の範囲内で評価額を安くする、というものです。自宅の土地の評価が最大で80%安くなるというものが有名ですが、賃貸用アパート・マンションの敷地であっても小規模宅地の特例が使えます。

 他の土地に小規模宅地の特例を使わないのであれば、アパート・マンションの敷地のうち200㎡までが、50%減額となります。

 例えば、200㎡の土地で、通常の評価額4億円、借地権割合が70%の土地であれば、まず貸家建付地の評価として21%減額され、3億1,600万円となります。

 これに小規模宅地の特例が使えますので、3億1,600万円×50%=1億5,800万円まで評価額を下げることができます。

 財産が多額の場合、これだけで相続税が1億円以上安くなったりもします。もし、小規模宅地の特例を自宅の土地などと併用する場合は、定められた計算式により限度面積を計算します。この場合、限度面積は200㎡より小さくなります。