CASE04:敵対的買収に対抗する『ホワイトナイト』とは!
阪急&阪神の経営統合。
ドラマのような経営統合の裏には?
第4話は2010年が舞台。第3話(2001年)からの、実際の日本の経済環境の変化を整理してみましょう。
1998年から続いた日本の金融危機は2003年で終了し、大手銀行は不良債権処理を終えて体力回復。「銀行から不良債権を大量に買って儲ける」ビジネスは鎮火します。
1998~2005年は、日本の経済史に残る「合併・リストラ」時代。銀行をはじめ、あらゆる産業で、合併・リストラが進みましたが、それも、2006年以降下火に。危機を脱した日本経済はいったん好景気を迎え「構造改革疲れ」が流行語になりました。
しかし2008年のリーマンショックで事態はまた暗転。この頃から、日本の半導体・エレクトロニクス産業の危機が深刻化。力をつけた韓国・台湾・中国企業が、日本の牙城を崩し始めます。
ドラマ第4話では、経営危機におちいった名門総合電機メーカー『あけぼの』の買収合戦が始まります。ドラマ中で登場したキーワード「ホワイトナイト」とは何か?実際に日本で起こったケースを元に解説します。
2006年、長年のライバルだった阪神電気鉄道と阪急HD(阪急ホールディングス)の経営統合が実現しました。このとき阪神は村上ファンドの買収攻勢で苦しんでいましたが、そこへ阪急HDが「ホワイトナイト」として救いの手を延べたことで、老舗同士の経営統合がスムーズに進んだと考えられます。
老舗企業にいきなり買収を提案しても拒まれますが、敵対的買収をしかけられて苦しんでいるところでホワイトナイトとして救済を申し込むとすんなり買収できます。ドラマ中でも鷲津が「芝野が再生をしくじれば、外資系ファンドが買収しやすくなる」と、ホワイトナイトとして参入することを狙って買収計画をいったん保留します。「ホワイトナイト」とは、老舗企業の買収や統合を成功させる、高度なテクニックの一つといえます。
解説:窪田 真之(くぼた まさゆき)
楽天証券経済研究所 チーフ・ストラテジスト
「ハゲタカ」4話おさらい
『三葉銀行』の隠し口座が発覚し、常務取締役の飯島(小林薫)が失脚してから9年。鷲津(綾野剛)らは国内有数の大手電機メーカー『あけぼの』の買収を進めていた。一方で『あけぼの』の再生担当執行役員に就任したのは『三葉銀行』を辞め、企業再生のスペシャリストとして活躍していた芝野(渡部篤郎)。柴野の手腕に一目を置く鷲津は買収をいったん保留にして様子を見ることに。そこへPCメーカー『ファインTD』の社長・滝本誠一郎(高嶋政伸)が『あけぼの』買収に動き始める。そして鷲津は予想もしない裏切りに見舞われ…。
~トウシル編集部員の視聴後レビュー~ ハゲタカ「ココに注目」!
家庭を顧みず仕事に明け暮れている間に家庭崩壊…。バブル崩壊するまではこんな風景、けっこうあったんじゃないかなと思います。三葉銀行・芝野氏(渡部篤郎)の家も、奥さんはアル中、お嬢さんは家庭に期待してない、と哀しいことになってて勝手に心配してたのですが、4話で芝野家は無事、平和を取り戻していて一安心しました。企業だけでなく、家庭も見事再生させたお父さん、さすがです。バブル時代、日本経済を支えてがむしゃらに働いたお父さんたちの中にも、バブル崩壊後、本当に大事なものに気づいた人がいたのかもしれません。
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8/17Released! CASE02:再生できる企業を見抜くには!
8/20Released! CASE03:暴かれた「隠し口座」は本当にあった?
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