先週は、円高で上値重く、2万円をはさんだせまい範囲のもみあい

先週の予測では、「引き続きドル安・円高基調で上値の重い展開から2万円水準でのもみあい」としました。

ドル安・円高基調の背景は、7月20日開催のECB(欧州中央銀行)理事会で金融政策を現状維持としたものの、9月の理事会で金融緩和の縮小が議論されるとの思惑があります。ユーロが買われたのですが、このユーロ高に対してドラギ総裁が懸念を表明しなかったことでユーロ買い・ドル売りが活発化、この流れからドル売り・円買いとなりました。

週末は、ロシアゲート問題からリスク回避のドル売りが加わって1ドル=110.01円の円高進行となりました。 目先はこの流れが続くことでドルの上値は重くなります。円高基調の中では日経平均の上値も重くなるため、これまでのレンジである1万9,900~2万0,300円の中でのもみあいを想定しました。
結果的には、米国株式市場が史上最高値を更新したにもかかわらず、為替は1ドル=110円台半ばまで円高が進行。日経平均は1万9,900~2万176円という2万円をはさんだせまい値動きとなり、週末は1万9,959円と2万円を割れて引けました。決算発表の中、個別銘柄を物色する動きとなりました。

 

24日(月):為替が110円台後半の円高となったことを嫌気し、一時▼197円の1万9,901円まで下げ、売り一巡後はは日銀のETF(上場投資信託)買い期待を支えに下げ渋るものの、▼124円の1万9,975円と4日ぶり2万円を割れました。

25日(火):手がかり材料がない方向感のない展開となり▼20円の1万9,955円と3日続落。

26日(水):前日の米国市場で、米国株高、112円近辺への円安となったことで、一時△160円の2万116円まで上昇し、△94円の2万050円と4日ぶりに反発しました。

27日(木):前日の米国株式が主要3指標がそろって史上最高値となったものの、対ドルで円高にふれたことで上値は限定的となり、△29円の2万79円となりました。後場に先物にまとまった買いが出て、△126円の2万176円をつけましたが、買いは続かず引けにかけて上げ幅を縮小。

28日(金):米国株式はマチマチの動きの中、円は強含み(110円台後半)のため、利益確定売り優勢となって再び2万円を割れ。後場には一段安となって一時▼153円の1万9,926円まで下げ終値は▼119円の1万9,959円で引けました。
28日(金)の米国市場は、前日下落のテクノロジー株への売りは一服したものの、企業決算はマチマチ。NYダウはシェブロンの好決算で△33ドルの2万1,830ドルと3日連続の最高値更新する一方、ナスダックはアマゾン・ドットコムの下落で続落となりました。4-6月期のGDP(速報値)は+2.6%と予想の+2.7%を下回り、同コア指標や雇用コスト指数も予想を下回ったことで、10年債利回りが低下。ドル売りとなって1ドル=110.68円で引けました。 シカゴの日経先物は△10円の1万9,960円となっていました。


今週も、円高基調の中、米7月雇用統計を控え様子見が続く

今週は、先週末の北朝鮮のミサイル発射で地政学的リスクが高まりました。稲田防衛大臣の辞任にともなう内閣改造や米国ではトランプ政権への政策実行力への懸念など不透明要因が多く、ドル売り・円買い基調となっていることで、引き続き日経平均は上値の重い展開となりそうです。1万9,900~2万300円のレンジの中で、2万円をはさんだもみあいとなっており、1万9,900円を明確に切って引けると6月15日の安値1万9,755円が下値ポイントとなってきます。足元の業績は好調で、好決算銘柄が買われ相場をサポートしています。ただし、最高値更新を続けている米国株式が何かのキッカケでいったん下落するようなことがあれば、日経平均も連動することになります。

先週まで買い残高が7週連続の増加のため、現状の商いが増加しない中では、戻り待ちの売り圧力となってくることになります。

今週末に7月雇用統計の発表を控えており、予想を上回れば再び追加の金利引き上げ観測が対台頭して、ドル買い・円売りとなって日経平均の反発も考えられますが、予想を下回れば金利引き上げ観測が後退し、ドル売り材料となります。
31日(月)は、為替が1ドル=110円台前半の円高となったことで、一時▼67円の1万9,891円と1万9,900円を割り込みましたが、好決算銘柄の物色に支えられました。その後は方向感のない展開となり、上値は2万円を回復できず▼34円の1万9,925円で引けました。

 

(指標)日経平均

先週の予測では、7月25~26日に米国FOMC(連邦公開市場委員会)を控えて、上値の重い展開の中トランプ政権の政治的リスクが高まっており、ドル安、株安となれば日経平均も売られることになるとしました。レンジは1万9,900~2万300円の中で2万円をはさんだもみあいが想定されるとしました。
結果的には、ドル安・円高はやや進みましたが、米国株式市場が最高値を更新する動きとなったことで、円高による下げは限定的となりました。値動きとしては、7月24日(月)の1万9,901円を安値に、7月27日(木)の2万176円を高値とする狭いレンジでのもみあいとなり、週の終値は1万9,959円と2万円を切って引けました。
今週は米国では、週末に7月の雇用統計を控えており、先週に引き続き日米決算をみながらの個別物色相場となりそうです。先週の北朝鮮のミサイル発射を受けての地政学的リスク、稲田防衛大臣の辞職に伴う内閣改造など、不透明部分が多くこれまでと同じく1万9,900~2万300円の中で2万円をはさんだ値動きが想定されます。

(指標)NYダウ

先週の予測では、トランプ政権のロシアゲート問題での政治的リスクからの円高の可能性もあり、最高値圏での上値の重い展開としました。
注目されたFOMCは、イエレン議長の会見もないことから大きな変動要因にはなりませんでした。9月のFOMCでのバランスシートの正常化を示唆する声明文を受けてドル買いで反応しましたが、すぐに不透明感が広がりドル売りとなりました。好調な企業決算を受けて米国株式は堅調な動きとなり、7月26日(水)は主要3指標が最高値更新となりました。その後はS&P、ナスダックは反落しましたがNYダウは3日連続の最高値更新となり、7月28日(金)は△33ドルの2万1,830ドルで引けました。
高値圏でのもみあいを想定する中、NYダウは史上最高値を更新しています。これは、企業決算が好調ということもありますが、もう1つの背景は、イエレン議長が7月中旬の議会証言で金融引き締めに慎重な発言をしたことをきっかけに「政策金利の長期見通し」を3%から引き下げるのではとの思惑が浮上し、ドル売り・株高となったことがあります。

このような状況の中で、経済指標が好調であれ再びドル買いとなるため、週末の8月4日の雇用統計が注目となります。高値圏のもみあいが続くことになりそうですが、トランプ政権の政策実行への懸念が高まればドル売り・株売りの可能性も出てきます。

(指標)ドル/円

先週の予測では、引き続きロシアゲートの問題やオバマケア代替法案の否決から減税政策への実施の不透明さから、ドルは売られやすくなるとし110~113円のレンジを想定。
結局、26日のFOMCの声明文でバランスシートの縮小の時期を示さなかったことや、28日の4-6月期の雇用コスト指数が予想を下回ったことによるインフレ抑制の思惑、北朝鮮のミサイル発射などを受け、一時1ドル=110.51円までドルが売られ110.68円で引けました。
今週も、ドルの上値は重い展開が想定されます。FRB(連邦準備制度理事会)の金融政策を見極めたいため、今週の重要指数、特に4日の雇用統計は注目です。経済指標が低調であれば、追加利上げへの期待が後退し、ドルは売られやすくなります。トランプ政権の政策実施への不安がさらに増すようだとドル売り要因となるでしょう。先週と同じく110~113円のレンジの中で110円を守れるかどうか注目です。