相続税を減らすための対策として有名なのが「アパート経営」。でもアパートを建てると相続税が安くなる本当の理由、知っていますか?

アパートを建てると相続税が安くなる

 平成27年の相続税法改正により、特に都心部では相続税がかかる家庭が急増しました。となると、「できるだけ相続税を減らしたい」と思うのが正直な気持ちでしょう。

 相続税を減らすための対策としては、生前贈与を行う、生命保険に加入する、といったものが代表的ですが、最もメジャーなものが「所有する土地にアパートやマンションを建てて賃貸する」というものではないでしょうか。

 現に非常に多くの地主さんや不動産オーナーが、アパマン経営を行っていますし、それに関連したビジネスを行っている上場企業の業績も非常に好調です。

 でも、アパートやマンションを建てると相続税が安くなることは知っていても、なぜ相続税が安くなるのかという本当の理由を知っている方は、意外と少ないのではないでしょうか?

 

なぜアパートを建てると評価額が下がるのか?

 相続税の世界では、基本的にはよほどのことがなければ税金を軽減する特典は設けられていません。

 例えば、自宅を相続した場合の「小規模宅地の特例」という制度があります。これは、一定の要件を満たせば330㎡までの部分につき評価額が80%減額となるものです。相続税を支払うために住んでいる自宅までも売却するようなことになってはならない、という配慮があってのものです。

 実はアパートやマンションを建てると、その敷地となる土地は相続税計算上の評価額が下がります。これが相続税の軽減につながるのです。

 アパートやマンションの敷地は「貸家建付地(かしやたてつけち)」と呼ばれ、以下の計算式で評価されます。

貸家建付地の価額 =自用地とした場合の価額-自用地とした場合の価額×借地権割合 ×借家権割合×賃貸割合

 借家権割合は30%です。賃貸割合を100%とすると、借地権割合が60%の土地であれば、自用地(自宅など自分で使っている土地)の評価額から18%減額され、82%の評価額となります。

 借地権割合は土地によって異なりますから、国税庁のホームページから路線価図で確認してください。