為替がユーロ高・ドル安から円高基調となって日経平均は上値の重い展開へ

先週の予測では、材料不足の中、為替の動きを横目に2万円をはさんだもみあいになるとしました。早期利上げ観測から日米金利差拡大期待で7月11日(火)には1ドル=114.49円のドル高・円安となっていたものの、イエレン議長のハト派的発言から早期利上げ観測が後退し、トランプ大統領のロシアゲート問題の政治リスクも懸念されることから円安が再びおあずけとなり、日経平均は2万円の水準の間でのもみあいが続くことになりそうだとしました。チャートからは19,900~20,300円の間でのもみあいが続いており、この中で14日(金)の日経平均は7月SQ値20,151円を下回る20,118円で引けているため、まず、このSQ値を上回る上昇ができなければ、目先のフシとなるため注目としました。

結果的には、決算発表の中、様子見ムードの中で円高進行となって上値重く、材料不足もあって2万円をはさんで狭いレンジのもみあいとなり、安値は18日(火)の19,943円、高値は20日(木)の20,157円で、週の終値は20,099円で引けました。

3連休明けの18日(火)は、1ドル=112円台半ばの円高進行で売り優勢となり、先物売りで一時▼175円の19,943円まで下落し、終値は▼118円の19,999円と6日ぶりに2万円割れで引けました。19日(水)は、円高一服から買い戻されるものの上値重く△20円の20,020円と小反発でした。しかし、20日(木)は前日のアメリカ市場で原油高、住宅関連指標の予想を上回る結果を受けて株式の3指標(ダウ、ナスダック、S&P)が揃って史上最高値を更新したことを受け、△124円の20,144円と続伸しました。トピックスは6日ぶりの年初来高値更新でした。週末の日経平均は為替が1ドル=111円台の円高進行となったことで売り優勢となり、一時▼61円の20,081円まで下げ、その後は日銀のETF買い期待で下げ渋りましたが、終値は▼44円の20,099円で引けました。

21日(金)のアメリカ市場は、堅調な株式相場の足をトランプ大統領のロシアゲート問題への疑惑が高まり、モラー特別検察官がトランプ大統領のロシア事業を調査すると報道されると政治的リスクから警戒感が高まり、NYダウは▼31ドルの21,580ドルとなり、為替はドルが売られ一時1ドル=111.01円をつけました。シカゴの日経先物は▼100円の19,980円となっていました。

 

今週も、引き続きドル安・円高基調で上値の重い2万円水準でのもみあい

今週は、アメリカでトランプ政権への不透明感が高まっている中で、25日(火)~26日(水)はFOMCが開催され、これまでの日経平均の19,900~20,300円のレンジの中で2万円水準を中心に上値の重い展開が想定されます。足元の景気は好調で決算発表は堅調さが予想されるものの、20日(木)開催のECB理事会で金融政策は現状維持の決定となったものの、9月の理事会で金融緩和の縮小が議論されるとの思惑からユーロが買われ、このユーロ高・ドル安に対してドラギ総裁の懸念表明がなかったことで、さらにユーロ買い・ドル売りが活発化しました。

このユーロ買い・ドル売りの流れが、ドル売り・円買いとなり、週末はこれにロシアゲート問題でリスク回避のドル売りが加わって1ドル=111.01円の円高進行となりました。ドル売り・円買いの流れはオバマケア代替法案の不成立でトランプ政権の政策の目玉である減税政策も実現に不透明感がでたこともあと押しとなっています。もちろんアメリカの現状の経済は好調ですので良好な経済指標がでてくれば、再び追加利上げ観測から日米金利差拡大期待で円安方向にふれることも考えられますが、当面はそれほどの円安は期待できず、日経平均の上昇はおあずけとなりそうです。そのため決算の本格化で、一段の個別物色の展開が続くことになりそうです。円高が一段と進行すれば19,900~20,300円のレンジを下放れして、6月15日(木)の安値19,755円を試す動きも想定されることになります。

7月24日(月)は、1ドル=110円台後半の円高を受けて売り優勢で始まり、一時▼197円の19,901円まで下落するものの、その後は日銀のETF買い期待で下げ渋り、後場には20,002円まで反発しましたが、上値重く▼124円の19,975円と4日ぶりに2万円を割って引けました。今週は19,900~20,300円のレンジの中で、さらに小さいレンジで19,900~20,151円(7月SQ値)の動きが想定されます。

 

 

(指標)日経平均

先週の予測では、日米金利差拡大期待で、いったん円安基調になりかけたものの、イエレン議長の議会証言を受けて早期利上げ観測が後退し、再び円高基調となっていることで日経平均の上昇は期待できず、あいかわらず19,900~20,300円の間の動きが続くことになるとしました。14日(金)の7月SQ値20,151円を下回る20,118円で引けていますので、早い段階で上回ってこないと目先の上値のフシになるとしました。

結果的には、想定通り19,900~20,300円の中での2万円をはさんだせまいレンジのもみあいとなり、下値は7月18日(火)の19,943円、上値は7月20日(木)の20,157円で終値は20,099円でした。決算発表の中、様子見から手がかり材料不足で動きがとれませんでした。

今週は、アメリカでは7月25日(火)~26日(水)にFOMCを控えて方向感に乏しく、FOMC後もイエレン議長の会見がないことから大きな変化なく、上値の重い展開の中でトランプ政権への不透明感が高まっており、ドル安・株安となれば日経平均も売られやすくなります。先週末のシカゴ先物は2万円割っていますので19,900~20,300円の基本レンジは変わらないと思われます。為替の円高が進行すれば6月15日(木)の19,755円が下値のメドとなる場合もあります。

日経平均

 

 

(指標)NYダウ

先週の予測では、経済指標の結果次第では上値を試すこともありそうですが、トランプ大統領のロシアゲート問題もあり、ここからの上値は限定的であるとしました。

結果的には、7月18日(火)はオバマケア代替法案が不成立となり、トランプ大統領の政策への懸念が高まってNYダウは下落しましたが、一方でテクノロジー株は堅調でナスダックは最高値を更新しました。7月19日(水)は経済指標、企業決算ともに堅調だったことで3指標そろって最高値更新となりました。しかし週末の7月21日(金)はロシアゲート問題が高まり、特別検察官がトランプ大統領のビジネスまで操作対象を拡大するとの報道で政治リスクが高まり▼31ドルの21,580ドルで引けました。

今週も最高値圏での上値の重い展開となりそうです。早期利上げ観測は遠のいたものの、堅調な雇用統計を背景に年内のバランスシートの縮小の実施を見極めるため、7月25日(火)~26日(水)のFOMCに注目となります。今回はイエレン議長の記者会見はなく声明文のみですので、大きな変動要因は起きないと思われます。そうであればトランプ大統領のロシアゲート問題が政治的リスク要因となり、ドル安・株安の可能性も考えられます。

NYダウ

 

 

(指標)ドル/円

先週の予測では、早期利上げ観測が後退したことで、経済指標の結果によってはドルの弱含み(円高)が続くことになりロシアゲートの問題も懸念が高まっているのでリスク回避のドル売りも考えられるとし111~114円のレンジを想定しました。

7月20日(木)のECB理事会で金融政策の現状維持が決定されたものの、9月の理事会で金融緩和策の縮小が議論されるとの思惑からユーロ買い・ドル売りとなって、これが円買い・ドル売りにも結びつき円高進行となりました。週末はトランプ大統領のロシアゲート問題からドル売りも加わり、一時111.01円までドルが売られ111.12円で引けました。

今週も引き続きトランプ政権への懸念からドルは売られやすくなります。ロシアゲート問題と同時にオバマケア代替法案の不成立が減税政策などの実現に不透明感がでてきたことで株安・ドル安の方向もでやすくなっています。基本のレンジは110~113円。

ドル/円