4.良品計画(7453)
投資妙味あり。ポイントは以下3つ。
(1)業績は中長期的に拡大へ
良品計画は7月4日に2019年2月期1Q決算を公表。1Qの営業利益は前年同期比12%増となり、好調な滑り出しでした。同社の営業利益は8期連続で最高益を更新する見込みです。会社側は、2019年2月期の営業利益を前期比10%増と計画しています。
足元の国内の既存店売上高(対象は直営店及び商品卸売先の店舗)は好調に推移しています。3-5月の累計が前年同期比で5.5%増、6月が6.9%増でした。会社側は国内事業の既存店売上高について通期で前期4%増と計画していますが、足元はそれを上回る推移です。
良品計画の既存店売上高(前年同月比)推移
期間:2017年3月~2018年6月
※対象は直営店及び商品卸売先の店舗
中長期的にも店舗拡大を背景に業績は拡大していくでしょう。同社は2021年2月期に店舗数1,200店を目指していますが、そうすると2018年2月期比で約30%の増加になります。
良品計画の連結業績
(2)高い収益性、強いSPAモデル
同社の収益性は高く、営業利益率は12%台です(2018年2月期)。ニトリと同様に、SPAモデルを活用して高品質な商品を提供できていることが利益率の高さにつながっています。同社は開発する商品について、シンプルさと質へのこだわりの両方を追求しています。そのコンセプトは国内外で深く浸透しており、消費者から支持されています。他社がそのコンセプトや世界観を真似ることは困難でしょう。
(3)直近、株価は下落
1Q決算公表後、株価は16%下落しています(7月9日の終値と7月4日の終値を比較)。ニトリと同様に、通期計画を据え置いたことが悪材料となりました。
年初を100とした場合の株価推移
期間:2018年1月4日~2018年7月9日
(4)リスクは中国の消費マインド
なお、良品計画は中国など東アジアにおける店舗数が多く、この地域の販売動向も業績を占う注目ポイントになります。この点、同エリアの既存店売上高の伸び率が鈍化している点は注意が必要です。1Qにおける東アジア事業の既存店売上高は前年同期比0.8%増(現地通貨ベース)となり、会社側が公表している通期計画の4.5%増(前期比)を下回りました。この東アジアの状況が改善するかが株価を占うポイントになります。なお、東アジアの店舗数は333店、国内事業は454店、その他が141店舗です(2018年2月期末時点)。
5.スター・マイカ(3230)
投資妙味あり。ポイントは以下3つ。
(1)業績は中長期的に拡大へ
不動産業のスター・マイカにも注目しています。同社は6月28日に2018年11月期の2Q決算を公表しました。2Q累計の連結業績は、営業利益が前年同期比31%増と好調に推移しました。会社側は2018年2月期の営業利益を前期比3%増の37億円と計画していますが、2Q累計時点で既に30億円弱が達成されており、同社の通期業績は会社計画を大きく上回ると考えられます。
同社の主事業は、リノベーション中古マンションの企画・販売です。中古マンションの部屋を調達し、リノベーションして販売しています。新築物件の値上がりや、若者を中心に中古物件に対する抵抗感の減少を考慮すると、リノベーション中古マンションの需要は今後もしっかりと推移するでしょう。そのなかでも、数多くのリノベーション実績を積み上げた同社は、よりユーザー側の要望に沿ったリノベーションができると考えられます。同社は、リノベーション中古マンションを年間約600室販売しており、累計の販売実績は約5,500室に上ります。
スター・マイカの連結業績
(2)ユニークなビジネスモデル
同社のビジネスの特徴は、調達する部屋が「空室」ではなく「賃貸中」であることです。多数の賃貸中の中古マンションを取得し、その物件をポートフォリオとして賃貸運用しながら、空いた部屋を順次リノベーションして販売することにより、売却益だけではなく賃貸料を安定的に得られる仕組みとなっています。保有している物件はバリュエーションに富んでおり、常時2,400室を保有しています。
新しい取り組みも次々と打ち出しています。リノベーション済みの中古マンションを販売するだけではなく、買い手の要望に沿ってオーダーメイドのように部屋をリノベーションしていく「じぶんReno」を進めています。また、株式会社SQUEEZEと協業し、民泊事業にも本格参入しました。
(3)直近、株価は下落
決算公表後、株価は7%下落しています(7月9日の終値と6月28日の終値を比較)。会社側が通期計画を据え置いたこと売り材料になったとみられます。
年初を100とした場合の株価推移
期間:2018年1月4日~2018年7月9日
スター・マイカの業績推移
(4)リスクは不動産市況
同社は最終的にリノベーションをした物件を売却するため、不動産市況が急速に崩れると大きなマイナス要因になります。ただし、前回、不動産市場が崩れた時期の当期純利益をみてみると、2009年11月期に前期比43%減となったものの、その後に回復しました。赤字を回避できた当時のノウハウは、今後も活かすことができると考えられます。