6.5Gと半導体
5Gでは半導体も重要です。
図1は、通信ネットワークとデータセンターの有り様を示したものです。通信ネットワークは、基盤となるバックボーン、大都市間を繋ぐメトロ、アクセスとメトロを繋ぐアグリゲーション、端末と基地局をつなぐアクセスの4階層に分かれています。
データセンターについて見ると、現在はバックボーンからアグリゲーションにかけて大型、超大型データセンターが設置されており、新たな建設計画も多数あります。
ところが5Gの時代になると、端末(スマホやIoT端末、機械、ロボット、医療機器など)と基地局の間で動画を含む大量の情報がやり取りされるようになります。そして、これらの情報は5Gの特性上低遅延で送受信されますが、メトロやバックボーンのようなネットワーク上の遠いところにあるサーバーやデータセンターに情報を直接送受信して遅延時間を長くしてしまうと低遅延という5Gの特性が薄まってしまいます。このため、これらの情報を処理して蓄積するサーバーとデータセンター(小型データセンター)が、アクセス系に大量に必要になると言われています(エッジコンピューティング)。
ネットワークを行き来する情報量も大量に増えると予想されるため、バックボーンからアグリゲーションにかけて置かれる大型、超大型データセンターも、アクセス系の小型データセンターも両方が増えると予想されます。
そのため、データセンターの中に入る半導体、DRAM、NAND型フラッシュメモリ、MPUや、各種ロジック半導体、電子部品、光通信用部品、光ファイバーなどが増加すると思われます。アメリカ、中国では、既にこのような5G関連のデータセンターと通信ネットワークへの設備投資計画が浮上しているもようです。
日本の半導体関連企業の中では、データセンター用電力半導体を手掛けるロームや、半導体製造装置メーカーの大手、東京エレクトロン、SCREENホールディングス、アドバンテスト、ディスコなどが、5Gに伴うデータセンター増設の恩恵を受けると思われます。
また、大量の動画情報を高速処理する必要があるため、通信系ロジック半導体や通信系電子部品の需要も増えると思われます。これも半導体関連企業にとってポジティブな点です。
図1 通信ネットワークの階層と5G
7.村田製作所と東京エレクトロンに注目したい
5G関連の相場はまだ始まったばかりです。これから様々な銘柄が5G関連として注目されると思われます。今回は、村田製作所と東京エレクトロンに注目したいと思います(村田製作所の業績の詳細は、楽天証券投資WEEKLY2018年5月11日号、同6月1日号、東京エレクトロンは、同4月27日号、同5月25日号を参照してください)。
表4 村田製作所の業績
表5 東京エレクトロンの業績
本レポートに掲載した銘柄:村田製作所(6981)、東京エレクトロン(8035)、NTTドコモ(9437)、富士通(6702)、ローム(6963)、アンリツ(6754)など