週始め2万3,000円台回復するも米朝首脳会談延期発言で円高進行、株安へ

先週の予測

 地政学的リスクや米中貿易交渉など強弱の材料を織り込みながら、2万3,000円水準でのもみ合いを想定しました。ただし、日経平均株価は3月26日の2万347円の安値から先週の5月18日(金)の2万2,954円の高値まで約2,600円の上昇幅で、かつ8週連続の陽線となっているため、過熱感があり何かきっかけあれば一服する可能性はあるとしました。

結果

 週始めこそ一時2万3,000円台を3カ月ぶりに回復しましたが、その後は利益確定売り優勢に。さらにトランプ米大統領が、米朝首脳会談の延期発言をしたことをきっかけに米国株式の下落、地政学的リスクや米長期金利に低下から円高が進行し、日経平均は3日間で560円の下げとなりました。

 21日(月)は、▲7円の2万2,937円で寄り付いた後、1ドル=111円の円安水準と時間外での米国株式先物の上昇を受け、一時+120円の2万3,050円まで上昇。その後、利益確定売りに押されるものの終値は+72円の2万3,002円と3カ月ぶりに2万3,000円台を回復。

 翌22日(火)は、前日の米国株式が米中貿易戦の懸念後退から3指標そろって上昇となりましたが、前日に2万3,000円のフシ目に到達していることで目標達成感から利益確定売り優勢となり、▲42円の2万2,960円と4日ぶりの反落となりました。 

 トランプ大統領が中国との貿易交渉に満足していないと述べ、さらに米朝首脳会談の延期の可能性にも言及したことで、23日(水)の、米国市場は楽観ムードが後退。NYダウは▲178ドルの2万4,834ドルと大幅下落となり、日経平均は円高も加わり▲270円と大幅続落でした。

 24日(木)は、為替が一気に109円台前半までの円高進行。25日移動平均線(23日時点で2万2,480円)を割り込んだことをきっかけに一時▲323円と下げが加速。終値は多少戻して▲252円の2万2,437円で引けました。この日の引け後の米国市場では、トランプ大統領の米朝首脳会談中止発言を嫌気し、一時▲280ドルの2万4,605ドルまで下落するものの、終値では▲75ドルの2万4,811ドルと下げは限定的でした。

 週末の25日(金)の日本市場は▲56円の2万2,380円と売り優勢で始まり、▲118円の2万2,318円まで下落。しかし、時間外での米国株式先物が堅調だったことで切り返し+72円の2万2,509円まで上昇しました、しかし、上値は重く、終値は+13円の2万2,450円と小反発で引けました。

 25日(金)の米国市場は、3連休を控え薄商いの中、原油価格が大幅安(OPEC会合で産油制限緩和観測から)でエネルギー株が下落し、長期金利の低下で金融株も下落したことで、NYダウは▲58ドルの2万4,753ドルでした。シカゴの日経先物は為替が109円台半ばの円高水準のため▲95円の2万2,345円となっていました。

 

今週は、25日移動平均線を上回って引けるかがポイント

今週の予想

 地政学的リスクが後退したことで、下値は限定的となりそうです。先週までは相場をサポートしてきた25日移動平均線(本日時点2万2,541円)を切り、すぐに回復できるかどうかがポイントです。米国市場では週末は雇用統計を始め多くの経済指標の発表があり、その結果によっては、影響を受けることになります。

 5月雇用統計は米国経済の堅調さから予想を上回る見方が多く、その場合は6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げの確率も高まり、一方で物価の上昇は低いという見方もあるため、米国の株価が上昇することになれば日経平均も戻りを試すことになります。

 5月28日は、中止となっていた米朝首脳会談が開催に向けて準備協議が行われていることが明らかにされ、北朝鮮リスクが後退。前場は+38円の2万2,488円と買い先行で始まり、円の弱含みと時間外取引での米国株価先物が高いことで一時+96円の2万2,547円まで上昇しました。その後は利益確定売りに押され、いったん下げに転じ2万2,410円をつけた後は、もみ合い商状となり、大引けにかけて強含み+30円の2万2,481円で引けました。5月28日、引け後の米国市場は休場のため売買代金は1兆8,136億円と4月2日の1兆6,740億円以来の2兆円割れで、出来高も10億6,400万株と低水準でした。