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ビットコインETF上場の試みが再び動き出す?
広瀬 隆雄
わかりやすいグローバル投資レポート
グローバル投資に精通する広瀬隆雄氏に、新興国株式だけでなく、米国株、欧州株をはじめとする先進国株式など、海外全般の経済や投資ストラテジーをご紹介いただきます。

ビットコインETF上場の試みが再び動き出す?

2018/5/15
・ビットコインETF上場の試みが再始動する?
・ビットコインETFについて
・なぜビットコインETFは期待されたのか?
・機関投資家がビットコインを買えないわけ
・これまで申請されたビットコインETFは、なぜ却下されたか?
・SECに対する反論
・現状
・コモディティか、有価証券か?
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ビットコインETF上場の試みが再始動する?

 2017年、ビットコイン先物がCBOE(シカゴ・オプション取引所)ならびにCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)に上場された際、「ビットコインETFの承認が近いのではないか?」という期待からビットコインが急騰しました。

 しかしビットコインETFは承認されず、17件の上場申請のほぼ全てが却下、もしくは自主的に取り下げられました。つまりビットコインETF上場の試みは振り出しに戻ったのです。

 しかし、それは「ビットコインETFの夢が消えた」ことを意味しません。それどころか、ある時点で、再びビットコインETF上場申請が再提出される可能性があると思います。

 そこで今日はそれを説明したいと思います。

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ビットコインETFについて

 ビットコインはこれを書いている2018年5月15日現在、時価総額で世界最大(1,508億ドル)の仮想通貨です。

 次にETFとは、エクスチェンジ・トレーデッド・ファンドの略で上場型株式投信を指します。わかりやすい言い方に直せば「投信なのだけれど、あたかも普通の株のようにニューヨーク証券取引所などで売り買いされているファンド」です。

 

なぜビットコインETFは期待されたのか?

 2017年、ビットコインETF承認への期待から仮想通貨市場がフィーバーした背景には、もしそれが承認されれば、幅広い機関投資家がビットコイン相場に参戦するだろうという読みがありました。現在、ごく一部のヘッジファンドやファミリー・オフィスを除いて、ビットコインを直接購入している機関投資家は少ないです。

 

機関投資家がビットコインを買えないわけ

 機関投資家は個人投資家とは違い、他人のお金を預かり、運用している関係で、フィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営)という責務を負っています。そこでは(1) 顧客の利益を優先しなさい、(2) 利益相反を排除しなさい、(3) 顧客にふさわしい投資対象に投資しなさい、(4) 顧客から預かった資産をしっかり守りなさい、というようなことを約束させられます。

 その場合、「この投資先は機関投資家の運用先としてふさわしいか?」ということが問題になります。もっと平たい言い方に直すと、うさんくさいモノには投資してはいけませんよ! ということが規定されているのです。

 もちろん、なにが「うさんくさい」か? というのは専門家でも鋭く意見が対立する命題であり、それを議論し始めたらこの記事にはとても収まりきれないでしょう。

 しかし、機関投資家や監督当局の暗黙の了解として「ニューヨーク証券取引所のような立派な取引所に上場されているものならそれはちゃんとした投資先だ」という考えがあるのです。ビットコインETFはニューヨーク証券取引所もしくはナスダックに上場されると思われるため、この要件を満たします。

 多くの機関投資家がビットコインETFの上場を切望した理由は、そこにあります。

 

これまで申請されたビットコインETFは、なぜ却下されたか?

 これまで申請されたビットコインETFに対してSEC(米国証券取引委員会)が首を縦に振らなかった理由は、SECで運用会社の監督の責任者を務めているダリア・ブラス氏がICI(全米投資会社協会)とAMG(全米資産運用協会)に宛てた「ファンドのイノベーションと仮想通貨関連商品」と題された書簡の中で示されています。

 先ず値洗いに関し、「ETFはNAV(純資産)計算のため、毎日、保有資産の価格を確定する必要があるけれど、仮想通貨取引はフラグメント化されており、どの値段を使うべきか? が確定しにくい。さらにフォーク(仮想通貨の分岐)が起きた際、それをETFの価値にどう反映するかが未知数だ。またエアドロップ(トークンの無償配布)の際、ETF保有者の誰が、どれだけそれを受け取るかの基本方針が不明瞭、さらにビットコイン先物の清算価格決定の際、現物市場の故意の操作をどう防ぐ? という方法論が確立されていない」と指摘がありました。

 次に流動性に関しても十分でないという指摘がありました。

 さらにカストディーに関し、1940年投資会社法では顧客資産がちゃんとカストディアンに預けられるべきことが規定されているけれど、現在は仮想通貨のカストディアンが整備されてないことが指摘されました。

 加えてETFは原資産とETFの間での価格カイ離を鞘取りする仕組みを援用しますが、仮想通貨取引所がフラグメント化されている関係で、鞘取りを行うAP(指定参加者)が十分にそれを行えないリスクがあることが指摘されました。

 

SECに対する反論

 このレターに対しシカゴ・オプション取引所のクリス・コンキャノン社長兼COOは3月末にSECのダリア・ブラス氏に宛てた書簡の中で:

1)    ETFのNAVはCBOEとCMEという連邦政府公認のデリバティブ取引所でちゃんと値段が取得できるので計算可能
2)    流動性に関してはCBOEとCMEの出来高が今後増えると予想される
3)    カストディーに関してはジェミニ信託が業務を開始した
4)    鞘取りは現在すでに可能である
5)    出来値への関与についてはCBOEが価格操作に目を光らせている

 ということを示し、そろそろビットコインETFを再考してほしいと訴えました。

 

現状

 CBOEとCMEに上場されたビットコイン先物は、当初商いが細かったのですが、だんだん取引は拡大しています。

 次にゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、バークレイズ、サークル/ポロニエックスらが仮想通貨トレーディング・デスクを設ける準備を進めており、彼らがトレードを開始すると先物の取引は一層活発化することが期待できます。

 つまりクリス・コンキャノン氏の反論にあったような市場の整備が、だんだん進捗してきているのです。

 

コモディティか、有価証券か?

 さて、仮想通貨をめぐる一つの議論に「仮想通貨はコモディティか、それとも有価証券か?」という問題があります。

 これに関しては「ことビットコインに関する限り、それはコモディティだ」というコンセンサスが醸成されつつあります。

 この判定も、ビットコインETFの組成に際して重要なポイントとなります。なぜなら普通、有価証券のETFは1940年投資会社法に基づいて行われるのですが、コモディティに関しては1933年証券法を使う必要があるからです。

 1933年証券法に基づいてETFを発行すると、それは「継続公募」とみなされ、クワイエットピリオド(緘口期間)が永久に続くとみなされます。もっとわかりやすい言い方をすれば、広告やマーケティングの面で、大きな制約が加わるということです。

 したがって一体どちらの法律に基づいてビットコインETFを認めるか? という問題も引き続き議論される事と思われます。

 

まとめ

 2017年、鳴り物入りで相次いで申請されたビットコインETFは、ことごとくSECから退けられました。いまは業界全体として「仕切り直し」する必要があります。しかしその間にも却下理由となった価格取得、流動性、カストディーなどの問題は次々に片付いており、そろそろSECが拒否する理由がなくなりつつあります。仮想通貨の法的な「立ち位置」の問題など、未だクリアしなければいけない問題は残っているのですが、ある時点でビットコインETF上場申請が再び活発化することが予想されます。

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