なぜビットコインETFは期待されたのか?
2017年、ビットコインETF承認への期待から仮想通貨市場がフィーバーした背景には、もしそれが承認されれば、幅広い機関投資家がビットコイン相場に参戦するだろうという読みがありました。現在、ごく一部のヘッジファンドやファミリー・オフィスを除いて、ビットコインを直接購入している機関投資家は少ないです。
機関投資家がビットコインを買えないわけ
機関投資家は個人投資家とは違い、他人のお金を預かり、運用している関係で、フィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営)という責務を負っています。そこでは(1) 顧客の利益を優先しなさい、(2) 利益相反を排除しなさい、(3) 顧客にふさわしい投資対象に投資しなさい、(4) 顧客から預かった資産をしっかり守りなさい、というようなことを約束させられます。
その場合、「この投資先は機関投資家の運用先としてふさわしいか?」ということが問題になります。もっと平たい言い方に直すと、うさんくさいモノには投資してはいけませんよ! ということが規定されているのです。
もちろん、なにが「うさんくさい」か? というのは専門家でも鋭く意見が対立する命題であり、それを議論し始めたらこの記事にはとても収まりきれないでしょう。
しかし、機関投資家や監督当局の暗黙の了解として「ニューヨーク証券取引所のような立派な取引所に上場されているものならそれはちゃんとした投資先だ」という考えがあるのです。ビットコインETFはニューヨーク証券取引所もしくはナスダックに上場されると思われるため、この要件を満たします。
多くの機関投資家がビットコインETFの上場を切望した理由は、そこにあります。