これまで申請されたビットコインETFは、なぜ却下されたか?

 これまで申請されたビットコインETFに対してSEC(米国証券取引委員会)が首を縦に振らなかった理由は、SECで運用会社の監督の責任者を務めているダリア・ブラス氏がICI(全米投資会社協会)とAMG(全米資産運用協会)に宛てた「ファンドのイノベーションと仮想通貨関連商品」と題された書簡の中で示されています。

 先ず値洗いに関し、「ETFはNAV(純資産)計算のため、毎日、保有資産の価格を確定する必要があるけれど、仮想通貨取引はフラグメント化されており、どの値段を使うべきか? が確定しにくい。さらにフォーク(仮想通貨の分岐)が起きた際、それをETFの価値にどう反映するかが未知数だ。またエアドロップ(トークンの無償配布)の際、ETF保有者の誰が、どれだけそれを受け取るかの基本方針が不明瞭、さらにビットコイン先物の清算価格決定の際、現物市場の故意の操作をどう防ぐ? という方法論が確立されていない」と指摘がありました。

 次に流動性に関しても十分でないという指摘がありました。

 さらにカストディーに関し、1940年投資会社法では顧客資産がちゃんとカストディアンに預けられるべきことが規定されているけれど、現在は仮想通貨のカストディアンが整備されてないことが指摘されました。

 加えてETFは原資産とETFの間での価格カイ離を鞘取りする仕組みを援用しますが、仮想通貨取引所がフラグメント化されている関係で、鞘取りを行うAP(指定参加者)が十分にそれを行えないリスクがあることが指摘されました。