税額を納める必要がなければ確定申告の義務なし

 税額を納める必要がなければ、確定申告の義務はありません。税額を納める必要がないケースとは、たとえば会社員の給料しか収入がなく、勤務先の年末調整で税金の精算が終わっている場合です。
また、そもそも所得が少なく税額が発生しない場合も確定申告は不要です。

 ということは、裏を返せば確定申告をすることによって、税額の還付を受けることができるとしても、確定申告をする「義務」はないわけです。
 確定申告をする義務がないのですから、税務署から私たちに対して「確定申告して取られすぎた税額の還付を受けないと、もったいないですよ」と親切に連絡してくることはありません。

 

必要であれば自ら進んで確定申告を

 税金の還付を受けられるケースとしては、以下のようなものが漏れている場合です。
・医療費控除
・寄付金控除(ふるさと納税など)
・住宅ローン控除
・社会保険料控除(国民年金や国民健康保険など)
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・配偶者控除
・扶養控除

 たとえば、多額の医療費(原則として10万円超)を負担していて、確定申告にて医療費控除を行っていない場合は、期限後申告(確定申告をしていない場合)や更正の請求(すでに確定申告をしている場合)により還付を受けることができるかもしれません。

 2017年分の所得税の還付を受けるための期限後申告は2022年末まで、更正の請求の期日は2023年3月15日ですが、できるだけ早めに提出するようにしましょう。 

 

株式投資の損失繰り越しや損益通算を確定申告していない場合は?

 「株式投資の税金特集(1)配当金にかかる税金の基礎知識」でもお話ししましたが、株式投資で損失の繰り越しを行うときや、繰り越した損失と売却益や配当金を相殺(損益通算)して源泉徴収された税金を還付してもらうときも、確定申告が必要です。

 損失繰り越しや損益通算の確定申告を忘れてしまったとき、次のような扱いになっています。

 年末調整をしている会社員のように、確定申告自体をそもそもしていない場合は、期限後申告をすることで、損益通算や売却損の繰り越しが可能となります。

 一方、確定申告自体はすでにしている場合、一般口座および源泉徴収なしの特定口座で生じた売却損の繰り越しは更正の請求により対応可能です。
 しかし、源泉徴収ありの特定口座で生じた売却損益について確定申告をしなかったことに対する救済策はなく、切り捨てとなってしまいますので注意してください。

 還付を受けることができるならば、自主的に動かなければ税金は戻ってきません。今一度ご自身の身の回りを見直し、税金の還付につながるようなものがないかどうか、確かめてみてください。