2018年を迎え、確定申告のシーズンが近づいてきました。そこで今回より、株式投資にかかる税金について特集します。知らないうちに損をしてしまわないように、最低限の基礎知識は身につけておきましょう。

 

株式投資にかかる2種類の税金とは?

 明けましておめでとうございます。2018年も、個人投資家の方に有用かつ実践的な知識・情報の提供に努めてまいります。引き続きよろしくお願いいたします。

 年明けを迎え、確定申告のシーズンも近づいてきました。そこで今回から4回シリーズで株式投資に関する税金の基礎知識をお伝えしていきたいと思います。

 株式投資で利益を得たとき、主に2種類の税金がかかります。1つは受け取った配当金に対してかかる税金、もう1つは売却による利益に対してかかる税金です。
 税金は言うなれば株式投資に対してかかる「コスト」。税金に関する知識を持って、余計な税金の支払いを避けることが、株式投資の運用成績のアップにもつながります。

 今回は、保有する株式につき受け取った配当金に対する税金の基礎知識をお話しします。

 

配当金に対する課税方法は3つ

 受け取った配当金は、税法上「配当所得」という所得に分類されます。
 厳密には、配当金を受け取った株式を取得するために直接要した費用(借入金の利息など)を差し引いて配当所得を計算しますが、ほとんどの場合は「受け取った配当金=配当所得」となると思います。
 この配当所得に対する課税方法は以下の3つです。

(1)源泉徴収のみで完了
 配当金を受け取るとき、自動的に20.315%の税金が源泉徴収(天引き)されています。この時点で、配当金に対する課税は終了しています。したがって、配当金の税金については「何もしない」という方法で問題ありません。

(2)総合課税
 総合課税とは、給与所得や不動産所得、事業所得など他の所得と合算して税率を計算し、課税されるという方法です。
 配当金以外の収入がそれほど大きくない方については、配当金を総合課税の所得に含めることにより、源泉徴収された税率(20.315%)より低い税率に収まることがあります。
 その場合、配当金を総合課税の所得に含めて確定申告することで、源泉徴収された税金の一部が戻ってきます。

 他の収入がどのくらいあるかによって、(1)と(2)のどちらが有利かが変わってきます。事前にシミュレーションを行い、有利な方法を選択しましょう。

(3)申告分離課税
 配当金は、株式投資の売却損(=譲渡損)と相殺することができます。それにより、源泉徴収された配当金の税金が戻ってきます。
 そのためには、配当金の収入を申告分離課税という方式で確定申告する必要があります。

 以上をまとめると、次のようになります。

・通常は何もしなくてOK
・配当金以外の収入が少ない人の場合は総合課税で確定申告したほうが有利
・株式投資の売却損と配当金を相殺したい場合は申告分離課税で確定申告する

 なお、(2)と(3)の場合は、確定申告することにより、扶養控除や配偶者控除、国民健康保険料などに影響を及ぼすことがあります。単に配当金の税金のみでなく、プラスの影響、マイナスの影響をトータルで判断し、最も有利なものを選択するようにしてください。