ボックスについて

 ボックスは2005年に創業されたクラウド・ストレージの会社です。同社はセキュリティーが堅牢で、アクセスしやすく、サード・パーティーのアプリと統合できる大企業向けのサービスを得意としています。

 同社は大企業のCEO、CIOに対する「トップ外交」で受注を獲得するアプローチを得意とします。また顧客企業の業種により必要とされる「特別仕様」の要求に応えます。ヘルスケア、金融サービス、生命科学、エンターティメント、石油・天然ガスなど、それぞれの分野に要求されるユニークなスペックを充足させます。

 ボックスのクラウド・ストレージ・インフラストラクチャは顧客のニーズに応じてダイナミックに変化する要求に応える柔軟な設計になっています。特に顧客企業のユーザーがスマートフォンなどのデバイスからデータにアクセスできるように工夫されています。

 UI(ユーザー・インターフェース)は洗練されており、使いやすいです。

 セキュリティーは堅牢で、管理者によるコントロールもしっかり行えます。さらにデータのガバナンス(統治)、規制産業の様々なルールに則った運用が出来るようになっています。

 現在、ボックスには5,200万の登録ユーザーがいて、そのうち課金ユーザーは16%を占めています。法人顧客は7万1千で、売上高の60%が従業員千人以上の企業から売り上げられています。

 同社は通常、1年間、若しくは数年に渡るサブスクリプション契約を顧客と締結します。後者の場合、まず契約時に最初の請求をします。その後は1年に一回の割合で請求します。すると2年以上先のサブスクリプションに関しては受注残として捕捉されますが、請求書を出すまでは売上高や繰り延べ売上高というようなカタチで財務諸表に記載することはありません。

 

 同社の問題点としては個々の契約金額が大きく、契約がちょっと先にズレ込むだけで四半期の売上が未達になるリスクがある点です。したがって「数字の予想しやすさ」という点ではドロップボックスより劣ると思います。

 ただ、一度顧客として取り込んでしまうと、途中から業者を変更するコストがユーザーにとって高いため、継続的なビジネスが見込めます。
 

その他のクラウド・ストレージ企業

 ドロップボックス、ボックスの他にもアルファベット、オープンテキスト、マイクロソフトなどの企業がクラウド・ストレージのサービスを提供しています。しかしそれらの企業のコア・ビジネスはストレージではないため、クラウド・ストレージ部門が業績に与えるインパクトは微々たるものです。したがってクラウド・ストレージの投資テーマから銘柄選定する場合の優先順位は下がると思います。