上値の重い日経平均

 先週の日経平均株価は、1週間で207円上がり、2万1,676円となりました。株安「第2波」【注】からの戻りを試したものの、2万2,000円が近づくと売りが増え、上値の重さを感じさせました。

 

【注】株安「第2波」

 下落第1波は、2月2日発表の1月の米雇用統計がきっかけとなりました。平均賃金上昇率が高く、米利上げが加速する懸念が生じ、NYダウや日経平均の下落第1波を引き起こしました。下落第二波は、3月1日に、トランプ米大統領が、鉄鋼とアルミニウムに輸入関税を課す方針を表明したことから、起こりました。米中貿易戦争が起こる懸念が生じ、NYダウ・日経平均が再び急落しました。

 

日経平均日足:2017年11月1日~2018年3月16日

 

 日経平均日足を見ると、2~3月の下落局面で、下値は2万1,000円を維持しているものの、反発力は徐々に弱くなり、上値が切り下がってきています。もう一度、2万1,000円辺りへ下がる可能性も出ています。

 

日米政治不安と、円高が懸念材料

 先週の日経平均の上値を重くしたのは、日米政治不安と円高です。トランプ米大統領が、保護貿易の強硬策を打ち出し、それに反対する(自由貿易を信奉する)政権幹部を次々と罷免(または辞任)に追いやっていることが、不安を高めています。これに反発する中国や欧州と、貿易戦争が起こる可能性が危惧されています。

 対外強硬策を打ち出す国が、世界に広がっています。習近平国家主席が独裁を強める中国も、対外強硬策が目立ちます。海洋進出を強化し、周辺国との摩擦が強まっています。

 先週は、英国とロシアに、新たな緊張が生まれました。ロシア元情報機関員の暗殺未遂事件をめぐり、英国がロシアに制裁を科すと、ロシアも報復措置を実施する方針を出しました。これに歩調を合わせ、欧州各国もロシアを非難しつつあります。米国も、ロシア非難で同調しました。米大統領選挙への介入疑惑に対し、米国もロシアに制裁を科しました。トランプ米大統領は、ロシアと親密とされ、米ロ接近の可能性がありましたが、米ロ関係も再び冷え込む見込みです。

 日本では、学校法人「森友学園」への国有地売却問題で、財務省が決裁文書の書き換えを認めたことから、麻生太郎財務相と、安倍晋三首相の責任を問う声が強まっています。森友問題を受けて、各種調査で、内閣支持率が急低下しており、安定していた安倍政権の基盤がぐらついています。

 貿易戦争や政治への不安を反映して、円高(ドル安)が続いていることも、日本株の上値を重くしています。1ドル106円前後が続くと、来期(2019年3月期)の企業業績の伸びが大幅に鈍化することが懸念されています。