3月1日トランプ大統領が鉄鋼とアルミニウムに追加関税を課す方針を表明

 トランプ大統領が、再び、保護貿易強化に舵を切り始めました。3月1日、鉄鋼、アルミニウムに追加関税を課す方針を表明したため、米中貿易摩擦が激化する不安が生じ、NYダウはさらに大きく下がりました。日本も、貿易摩擦に巻き込まれる懸念が広がり、3月2日の日経平均がさらに下がる要因となりました。

<NYダウ日足:2017年11月1日~2018年3月2日>

 

 NYダウも、下落第1波に続く、第2波で下げています。ただし、下落の勢いは、日経平均ほど強くはありません。日経平均は、円高により、下げがより大きくなっています。

 

円高で、来期業績に警戒シグナル

 既報の通り、今期(2018年3月期)の企業業績は、きわめて好調です。ところが、来期(2019年3月期)の業績には、黄色信号がともり始めました。円高が進んだことで、増益率が大幅に鈍化する見通しとなったためです。

 以下は、1ドル106円を前提とした業績予想です。

<東証一部上場3月期決算、主要841社の連結純利益(前期比)>

出所:楽天証券経済研究所が作成

 今期業績(会社予想)は、期初(5月時点)5.9%の増益でしたが、2月末時点では、21.9%増益にまで上方修正されてきました。ただし、これには、一時的要因もかなり含まれています。

 米国の大型減税で、繰延税金負債の取り崩しが発生したことが、トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車やソフトバンクの今期純利益を、押し上げます。この押し上げ効果は、来期には剥落します。

 今期の企業業績は、円安効果で押し上げられている面もありますが、来期、1ドル106円前後で推移すると、円高によるマイナス影響が及びます。

 3月2日、黒田日銀総裁が、国会で金融政策の出口に対する質問に対し、「当然ながら(2019年度ころ)、検討し、議論していることは間違いない」と発言したことで、1ドル105円台まで円高が進みました。円高への警戒感はしばらく続きそうです。
 

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