JPモルガン・チェース
JPモルガン・チェースの第4四半期決算はEPS(1株あたり純利益)が予想1.69ドルに対して1.76ドル(ただし税制改革法案成立による-69セントを除く)、売上高が予想248.7億ドルに対し241.5億ドル、売上高成長率は前年同期比+3.3%でした。
税制改革法案成立によるマイナスを除いた純利益は67億ドル、前年同期比-1%でした。
純金利収入は134億ドル、前年同期比+11%でした。金利上昇、融資ならびに預金成長が寄与。純金利マージンは5ベーシスポイント改善し2.42%となりました。
ROE(株主資本利益率)は8%、ROTCE(有形自己資本利益率)は13%でした。普通株式等Tier1(自己資本の中の、資本金・法定準備金・利益剰余金などの基本項目)比率は12.2%でした。これは第3四半期の12.6%より若干減りました。
平均コア融資成長率は前年比+6.0%、前期比+2.2%でした。
貸倒引当金は13億ドルで、前年同期の8.64億ドルより増えました。損金計上は12.1億ドルで、第3四半期に比べ横ばいでした。
消費者・事業バンキング部門の売上高は56億ドル、前年同期比+16%でした。預金マージンの改善(2.02%から2.06%へ)、預金残高の増加が成長の主因です。住宅融資収入は14億ドルで、前年同期比-15%でした。サービス収入減少・貸付け利ザヤ縮小がマイナスになった理由です。カード部門売上高は51億ドルで前年同期比+11%でした。
トレーディング売上高は前年同期比-19%。うち債券部は-34%でした。ボラティリティーの低下、信用スプレッドが狭まったこと、税制改革などが影響しました。税制改革の影響を除く債券部門の売上高は-27%でした。株式部は前年同期比±0%でした。これは信用取引に絡むマーク・ツー・マーケット評価損1.43億ドルを含んでいます。それを除くと株式部売上高は+12%でした。プライム・ブローカレージ、現物株、法人向けデリバティブが好調でした。
税制改革によるリパトリエーションに関しては、あまり予想していないというコメントがありました。また税制改革はM&A(会社の合併・買収)と株式引受けにはプラス、債券引受けにはマイナスに働くというコメントがありました。さらに税制改革は企業向け融資には少しプラス、住宅ローンには少しマイナスになります。
総括すればJPモルガン・チェースはクレジットカード部門の売上高成長に助けられている面が大きいです。その半面、投資銀行部門は精彩を欠いていました。