2017年第4四半期決算が出揃った

 2017年第4四半期の銀行・証券の決算が出揃いました。そこで今日はそれらをレビューしたいと思います。

総括

 まず全体像ですが、大きく分けてトレーディングに代表される証券業務は低調、クレジットカードや融資に代表される商業銀行業務は好調でした。それは各行の売上高成長率にも表れており、巨大な商業銀行部門を持つJPモルガン・チェース(ティッカーシンボル:JPM)、ウエルズファーゴ(WFC)、バンク・オブ・アメリカ(BAC)がしっかりした成長を記録した半面、トレーディングへの依存度が高いゴールドマン・サックス(GS)は不調でした。

 

 トレーディング収入だけを比較すると、次のチャートのようになります。

 2016年第4四半期に比べてJPモルガン・チェースとゴールドマン・サックスの成績が特に悪かったことがわかります。全体にトレーディングが低調だった理由としてはボラティリティーが低かったこと、長短金利差が小さいことなどによります。

 一方、商業銀行業務では各行とも期待されたほど純金利マージンは拡大しませんでした。これは米国財務省証券の利回り曲線の傾きが比較的緩やかになっていることが原因です。

 今後の見通しに関しては1)米国経済が好調であること、2)去年の暮れに税制改革法案が成立したことで事業主や消費者のマインドが強気であること、などの要因から融資成長に関しては楽観的な見通しを述べる銀行が多かったです。