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外国人投資家の目に、日本の政治はどう見えているか?
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

外国人投資家の目に、日本の政治はどう見えているか?

2018/1/18
・世界でもっとも「政治の安定した国」と見られている日本
・外国人の買いを呼び込んだ「解散総選挙」
・外国人はアベノミクスを評価
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世界でもっとも「政治の安定した国」と見られている日本

 世界まるごと好景気の中で、世界的な株高が続いてきました。時おり、冷や水をかけるのが、世界中に広がっている政治不安です。欧米のポピュリズム(大衆迎合主義)、北朝鮮の暴走、中国の海洋進出、中東の地政学リスク、テロの頻発など、不安の種は数え上げるときりがありません。

 こういう中で、外国人投資家に、日本の政治はどう見えているのでしょう?ひとことで言うと、「世界でもっとも政治が安定した国」です。

 昨年10月の衆院解散総選挙で自民党が大勝したことは、日本人にも外国人にもサプライズ(驚き)でした。欧州各国ではポピュリズムが蔓延し、既存政党(与党)の力が低下し、民族主義をかかげる新興勢力が拡大しています。米国はトランプ大統領の共和党が議会を支配していますが、今年11月の中間選挙で共和党が敗北するリスクを抱えています。そんな中で、安倍首相が2度も解散総選挙をやって勝ち続けていることは、海外から羨望のまなざしで見られています。

 日経平均は、外国人の買いで26年ぶりの高値まで上がってきましたが、景気・企業業績が好調であることだけでなく、日本で自民党が強い政治基盤を維持していることも、買い材料となっています。

 

外国人の買いを呼び込んだ「解散総選挙」

 昨年9月28日、衆議院は安倍首相の決断でサプライズ解散され、10月22日に総選挙が実施されました。結果は、サプライズとなる自民党の大勝でした。解散総選挙の前後には自民党の勝利をおりこみ、外国人投資家が日本株を大幅に買い越し、日経平均が大幅上昇しました。

 日本の過去5回の解散総選挙について、選挙前(衆議院解散日~投票前日まで)と選挙後(投票直後~50営業日後まで)の日経平均の動きを比較したのが、以下のグラフです。

過去5回の解散総選挙と、前後の日経平均の動き:衆議院解散日から総選挙の約3カ月後までを比較

注:総選挙直前の日経平均を100として指数化、▲28はその28営業日前、30は30営業日後を示す、楽天証券経済研究所が作成

 

 それでは、過去5回の解散総選挙と、日経平均の動きを振り返ります。

  • 2005年郵政解散:構造改革に積極的な強い政権誕生と見て、外国人が積極的に買い。
  • 2009年民主党政権誕生:強い政権復活を外国人は一時好感したが、民主党が経済成長よりも社会福祉充実を重視する政策を次々打ち出したことから、外国人の評価は高まらず。
  • 2012年アベノミクス開始:経済成長を重視する強い政権誕生と見て、外国人が積極的に買い。
  • 2014年消費増税延期:争点がはっきりしない選挙で、当初外国人の評価は高くなかったが、内閣支持率の上昇につながったので、後から評価。
  • 2017年衆院で与党が安定多数の3分の2超を有する状態で、安倍首相がサプライズとなる解散を実施。希望の党・立憲民主党創立で野党勢力が分散した効果もあり、自民党が大勝。外国人の買いを呼び込んだ。

 

外国人はアベノミクスを評価

 私は、短期的な相場予測をする場合、常に外国人がどう動くか考えています。外国人投資家が日本株の動きを決めている状況が、25年以上続いているからです。

 外国人投資家は、投資国の政治の変化に敏感に反応します。政情不安は売り、政治の安定は買いになります。日本の政治は安定していますが、それでも内閣支持率の変化に、政権安定度の変化が表れます。外国人は内閣支持率が高いときに買い、低くなると売る傾向があります。

 外国人投資家が投資先の政治をチェックする重要な切り口が、もう1つあります。資本主義政策を推進する政権が支配する国は買い、社会主義(社会福祉を重視する)政策を推進する政権が支配する国は売り、と判断します。

 2012年末の解散総選挙で、民主党政権が終わり、自民党政権が誕生しました。外国人投資家の目には、「社会福祉を重視する政権が終わり、資本主義政策を重視する政権が成立した」と映りました。これを受けて、2013年には外国人投資家が日本株を15兆円も買い越しています。

 私は、かつてファンドマネージャーをやっていた時代に、中東・中国・アメリカなどに出張し、現地の投資家とさまざまな議論を重ねてきました。その時に、彼らが日本株を見る目がどういうものか、感じ取りました。その時の経験を生かして、常に外国人の目に日本がどう映っているか考えています。

 外国人投資家は、今でも安倍政権を評価しています。外国人から見て、安倍政権が「資本主義色の強い政策を進める政権」と見えている状況が変わっていないからです。米国や英国ですら、反グローバル主義や反資本主義を掲げる勢力が強くなっている中、外国人投資家から見て、日本は、純粋に資本主義を貫いている国と映っています。

 安倍政権が、消費税率を引き上げながら、法人税率を引き下げるのは、明らかに資本主義的政策です。アメリカ抜きのTPP11(11カ国による協定)、日欧EPA(自由貿易協定)の成立に強い意欲を示していることは、資本主義的政策です。農業改革の推進、官業(日本郵政・空港など)の民営化推進も資本主義的政策です。マイナンバー導入によって電子政府を推進し官公庁の労働生産性を高めることも、資本主義的政策といえます。

 ただ、外国人が日本を見る目が、変わりやすいのも事実です。今後、日本の政治を見る目が変わったと、思う局面があれば、本レポートで報告します。

 

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