お金と投資をもっと身近に
facebook twitter
日銀が買い支える日本株は売り?「年6兆円の買い」はいつまで?
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

日銀が買い支える日本株は売り?「年6兆円の買い」はいつまで?

2017/12/27
・2017年の最大の買い手は、日本銀行
・日銀の買いが無かったら、日経平均はもっと安い水準に留まったか?
・日銀は、個人投資家の買いの機会を奪っただけ
・日本株の買い手として日銀の存在がどんどん大きくなっている
・日銀が買い支える日本株は、売りか?
・日銀はいずれ年6兆円規模の買い付け額を縮小しなければならなくなると予想
facebook twitter 印刷する

2017年の最大の買い手は、日本銀行

 2017年の日本株の最大の買い手は日本銀行で、5兆8,268億円も買い付けています。次が、事業法人(主に自社株買い)で、1兆1,724億円買い越しです。外国人の買い越しは意外と少なく、6,453億円です。

2017年の日本株主体別売買、買い越し・売り越し上位3主体:日本銀行は12月26日まで、他は12月15日まで

注:日本銀行は直接日本株を買っているわけではない。上記に記載しているのは日本銀行のETF買付額。日本銀行が買い付けるETFを組成するために、証券自己部門などが日本株を買い越す。プラスは買い越し、▲は売り越しを示す。金融法人は、信託銀行を除くベース
出所:日本銀行のETF買付額は日本銀行、事業法人・海外投資家は東京証券取引所「二市場一・二部 投資部門別売買状況」

 2017年の最大の売り手は個人投資家で5兆7,993億円売り越しています【注】。次が投資信託で、1兆2,246億円の売り越しです。主に、個人投資家の投信解約売りと考えられます。その次に多いのが金融法人の1兆1,102億円です。

 以上、まとめると、2017年は、個人投資家が大量に売り、日銀が大量に買った年ということになります。

 【注】個人投資家の売り越し額

実際の売り越し額は、ここまで大きくはありません。個人投資家が、新規公開株を引き受けて、上場後に売却した場合、統計上買いはカウントされず、売りだけがカウントされます。5兆7,993億円から、個人投資家が新規公開株を引き受けた金額を差し引いたものが、本当の売り越し額となります。ただし、それでも、個人が最大の売り越し主体であることには、変わりありません。

 

日銀の買いが無かったら、日経平均はもっと安い水準に留まったか?

 主体別売買を見ると、日銀が大量に買って日本株を支えているように見えます。日銀の買いで、日経平均は2,000円くらいかさ上げされていると言う人もいます。もし日銀の買いが無かったら、日経平均は2万1,000円前後に留まっていたのでしょうか?

 私は、そのようなことは無いと思っています。日銀の買いがあっても無くても、日経平均は現在の水準(2017年12月26日時点で2万2,892円)に近いところにあると思います。なぜならば、今年も日経平均を動かしていたのは、外国人投資家だったからです。

 外国人が買うと上がり、売ると下がる状況は、2017年も変わりませんでした。日経平均が急落する時は、外国人が売っていました。日経平均が高値を取る時は、外国人が買っていました。

 外国人は、日本の景気・企業業績や、世界の政治経済の動きを睨みつつ、日本株が売りだと思えば売り、買いだと思えば買っていただけです。日銀の買いが無くても、外国人は、日経平均を2万3,000円前後まで買い上げていたと思います。

 

日銀は、個人投資家の買いの機会を奪っただけ

 それでは、日銀の買いは、何に影響したのでしょうか?日銀は、日経平均が下げた日に大口買いを入れることを徹底しています。外国人が売りに回ったとき、すかさず買って、日経平均が大きく下げるのを防いできました。

 個人投資家は、日経平均が上がる局面で売り、下がる局面で買う傾向がきわめて鮮明です。2017年は外国人が買って上がる局面で、どんどん売っていました。ところが、外国人が売って日経平均が下がる局面で、あまり買えていません。日銀が先んじて買いを入れ、日経平均の下落を抑えているからです。もう少し下がれば、個人の買いが増えるところで、日銀が買って、下げを防いでいました。

 日銀は、個人投資家が買う分を、先に買ってしまっただけと見ることができます。また、外国人の買い越しも、日銀が買っていなければ、もっと大きかったと考えられます。

 

日本株の買い手として日銀の存在がどんどん大きくなっている

 日銀は、これまでに16兆円超の日本株ETFを買い付けています。今のペース(年6兆円)で買い続けると、1年後に22兆円、2年後に28兆円の日本株を保有し、GPIF(日本最大の公的年金)に次ぐ大株主となります。

日本銀行による日本株ETFの累積買い付け額推移:2011年1月~2017年11月

出所:ブルームバーグ

 2015年から買い付けペースが上がっています。2015年は年3兆円(月平均2,500億円)ペースで買い付けを行いました。2016年に入ってからは、年3.3兆円(月平均2,750億円)に買い取りペースを上げました。2016年8月からは、買い取りペースをさらに大幅に引き上げ、年6兆円(月平均5,000億円)としました。

 

日銀が買い支える日本株は、売りか?

 結論から言うと、私は売りとは考えません。日本株は、PER(株価収益率)・配当利回りなどの株価指標で見て、割安と考えています。

 日経平均は26年ぶりの高値を更新しましたが、26年前と比較して日本企業の投資魅力は、大きく高まっています。財務は、格段に改善しました。収益基盤も堅固になりました。配当や自社株買いにかなり積極的になりました。

 配当利回りの高い大型株に投資していくことは、長期的な資産形成に寄与すると判断しています。

 

日銀はいずれ年6兆円規模の買い付け額を縮小しなければならなくなると予想

 中央銀行である日銀が、年6兆円規模の買いを続けているのは、異常と考えています。早晩、買い付け額の縮小を議論しなければならなくなると、予想しています。

 中央銀行の主な役割は現在、円滑な資金供給を通じて、経済を活性化することにあります。日銀は、インフレ期待を高め、設備投資に点火することを目指し、異次元金融緩和を実施してきました。ところが、いくら金余り状況を作っても、インフレ期待は高まってきません。そこで、株を大量に買い付けて、景況を良くする奇策に出たのです。

 本来、「金融緩和→インフレ期待上昇→設備投資拡大→日本株上昇」をねらっていたのが、いつまでもインフレ期待が高まらないことに業を煮やし、ついに「日本株を直接買う」奇策に出たわけです。

 その奇策も、有効に寄与しているとは、言えません。ただ、個人投資家の買い場を奪っているだけで、日経平均が上昇するか否かは、結局、外国人投資家次第という状況が続いています。私は、早晩、6兆円規模の買い付けを縮小する議論が必要になると考えています。

 それでは、日銀が保有株を売却する話は、出るでしょうか?遠い将来、日銀が保有株を売る話が出る可能性もありますが、近い将来はないと予想しています。

 遠い将来の日銀の売りを今考えるのは、時期尚早です。短期的な相場予測を考える際には、日銀は、引き続き強力な買い手という位置づけでいいと思います。ただし、年6兆円の買い付けを縮小する議論が出る時、需給面の不安材料となる可能性はあります。

 

▼もっと読む!著者おすすめのバックナンバー3

12月21日:日本株の動きを支配する「外国人」の売買動向を徹底研究

11月8日:25年ぶりの高値更新!新局面に入った日経平均

10月30日:日経平均2万2,000円!外国人は強気・個人は弱気、どっちが正解?

 

▼他の新着オススメ連載

今日のマーケット・キーワード:今年を振り返るキーワード(3)『AI』と『EV』~加速する技術革新~

【この記事に対するアンケート回答はこちらから】

トウシルのオススメ記事

▲トウシルトップページへ

 

つみたてNISA
人気記事ランキングTOP
トウシル TOP

 

このレポートについてご意見・ご感想をお聞かせください日銀が買い支える日本株は売り?「年6兆円の買い」はいつまで?

本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。

記事についてのアンケート回答確認

日銀が買い支える日本株は売り?「年6兆円の買い」はいつまで?

今回のレポートはいかがでしたか?
コメント
フレッシャーズ
 
タイムトリップ
 
動画でわかる
 

 

 

 

 
メールマガジン

直近1日の記事を配信します

配信:平日毎営業日配信
祝日・GW・夏季/冬季休暇 を除く

公式SNS

タイムリーな情報を
ゲットできます

配信:記事配信時 随時
facebookおよびTwitterには一部配信しない記事もあります

TOP
×
トウシル メールマガジン および SNSについて
メールマガジン 申込み

トウシルメールマガジンではレポートやコンテンツ等、直近1日の記事をお知らせします。
本メールは配信希望のお客様に平日毎日お届けしております。
リアルタイムでの情報取得は、公式SNS(facebook、twitter)もあわせてご利用ください。

  • 「メールマガジン 選択/受付」画面から購読を選択できます。
  • 楽天証券のメルマガをすでに配信希望にされている方は、
    初期設定としては購読申し込みとなっている場合があります。
  • メールマガジン購読申し込みには、楽天証券会員登録(口座開設)が必要となります。
Gmailサービスをご利用の方へ
メールマガジンを受信時正しく表示されないことがございます。あらかじめご了承ください。
メールマガジン サンプル
メールマガジンサンプル
  • 「メールマガジン 選択/受付」画面から購読を選択できます。
  • 楽天証券のメルマガをすでに配信希望にされている方は、
    初期設定としては購読申し込みとなっている場合があります。
  • メールマガジン購読申し込みには、楽天証券会員登録(口座開設)が必要となります。
Gmailサービスをご利用の方へ
メールマガジンを受信時正しく表示されないことがございます。あらかじめご了承ください。