2017年の最大の買い手は、日本銀行
2017年の日本株の最大の買い手は日本銀行で、5兆8,268億円も買い付けています。次が、事業法人(主に自社株買い)で、1兆1,724億円買い越しです。外国人の買い越しは意外と少なく、6,453億円です。
2017年の日本株主体別売買、買い越し・売り越し上位3主体:日本銀行は12月26日まで、他は12月15日まで
出所:日本銀行のETF買付額は日本銀行、事業法人・海外投資家は東京証券取引所「二市場一・二部 投資部門別売買状況」
2017年の最大の売り手は個人投資家で5兆7,993億円売り越しています【注】。次が投資信託で、1兆2,246億円の売り越しです。主に、個人投資家の投信解約売りと考えられます。その次に多いのが金融法人の1兆1,102億円です。
以上、まとめると、2017年は、個人投資家が大量に売り、日銀が大量に買った年ということになります。
【注】個人投資家の売り越し額
実際の売り越し額は、ここまで大きくはありません。個人投資家が、新規公開株を引き受けて、上場後に売却した場合、統計上買いはカウントされず、売りだけがカウントされます。5兆7,993億円から、個人投資家が新規公開株を引き受けた金額を差し引いたものが、本当の売り越し額となります。ただし、それでも、個人が最大の売り越し主体であることには、変わりありません。
日銀の買いが無かったら、日経平均はもっと安い水準に留まったか?
主体別売買を見ると、日銀が大量に買って日本株を支えているように見えます。日銀の買いで、日経平均は2,000円くらいかさ上げされていると言う人もいます。もし日銀の買いが無かったら、日経平均は2万1,000円前後に留まっていたのでしょうか?
私は、そのようなことは無いと思っています。日銀の買いがあっても無くても、日経平均は現在の水準(2017年12月26日時点で2万2,892円)に近いところにあると思います。なぜならば、今年も日経平均を動かしていたのは、外国人投資家だったからです。
外国人が買うと上がり、売ると下がる状況は、2017年も変わりませんでした。日経平均が急落する時は、外国人が売っていました。日経平均が高値を取る時は、外国人が買っていました。
外国人は、日本の景気・企業業績や、世界の政治経済の動きを睨みつつ、日本株が売りだと思えば売り、買いだと思えば買っていただけです。日銀の買いが無くても、外国人は、日経平均を2万3,000円前後まで買い上げていたと思います。
日銀は、個人投資家の買いの機会を奪っただけ
それでは、日銀の買いは、何に影響したのでしょうか?日銀は、日経平均が下げた日に大口買いを入れることを徹底しています。外国人が売りに回ったとき、すかさず買って、日経平均が大きく下げるのを防いできました。
個人投資家は、日経平均が上がる局面で売り、下がる局面で買う傾向がきわめて鮮明です。2017年は外国人が買って上がる局面で、どんどん売っていました。ところが、外国人が売って日経平均が下がる局面で、あまり買えていません。日銀が先んじて買いを入れ、日経平均の下落を抑えているからです。もう少し下がれば、個人の買いが増えるところで、日銀が買って、下げを防いでいました。
日銀は、個人投資家が買う分を、先に買ってしまっただけと見ることができます。また、外国人の買い越しも、日銀が買っていなければ、もっと大きかったと考えられます。
日本株の買い手として日銀の存在がどんどん大きくなっている
日銀は、これまでに16兆円超の日本株ETFを買い付けています。今のペース(年6兆円)で買い続けると、1年後に22兆円、2年後に28兆円の日本株を保有し、GPIF(日本最大の公的年金)に次ぐ大株主となります。
日本銀行による日本株ETFの累積買い付け額推移:2011年1月~2017年11月
2015年から買い付けペースが上がっています。2015年は年3兆円(月平均2,500億円)ペースで買い付けを行いました。2016年に入ってからは、年3.3兆円(月平均2,750億円)に買い取りペースを上げました。2016年8月からは、買い取りペースをさらに大幅に引き上げ、年6兆円(月平均5,000億円)としました。
日銀が買い支える日本株は、売りか?
結論から言うと、私は売りとは考えません。日本株は、PER(株価収益率)・配当利回りなどの株価指標で見て、割安と考えています。
日経平均は26年ぶりの高値を更新しましたが、26年前と比較して日本企業の投資魅力は、大きく高まっています。財務は、格段に改善しました。収益基盤も堅固になりました。配当や自社株買いにかなり積極的になりました。
配当利回りの高い大型株に投資していくことは、長期的な資産形成に寄与すると判断しています。
日銀はいずれ年6兆円規模の買い付け額を縮小しなければならなくなると予想
中央銀行である日銀が、年6兆円規模の買いを続けているのは、異常と考えています。早晩、買い付け額の縮小を議論しなければならなくなると、予想しています。
中央銀行の主な役割は現在、円滑な資金供給を通じて、経済を活性化することにあります。日銀は、インフレ期待を高め、設備投資に点火することを目指し、異次元金融緩和を実施してきました。ところが、いくら金余り状況を作っても、インフレ期待は高まってきません。そこで、株を大量に買い付けて、景況を良くする奇策に出たのです。
本来、「金融緩和→インフレ期待上昇→設備投資拡大→日本株上昇」をねらっていたのが、いつまでもインフレ期待が高まらないことに業を煮やし、ついに「日本株を直接買う」奇策に出たわけです。
その奇策も、有効に寄与しているとは、言えません。ただ、個人投資家の買い場を奪っているだけで、日経平均が上昇するか否かは、結局、外国人投資家次第という状況が続いています。私は、早晩、6兆円規模の買い付けを縮小する議論が必要になると考えています。
それでは、日銀が保有株を売却する話は、出るでしょうか?遠い将来、日銀が保有株を売る話が出る可能性もありますが、近い将来はないと予想しています。
遠い将来の日銀の売りを今考えるのは、時期尚早です。短期的な相場予測を考える際には、日銀は、引き続き強力な買い手という位置づけでいいと思います。ただし、年6兆円の買い付けを縮小する議論が出る時、需給面の不安材料となる可能性はあります。
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