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2018年原油相場の見通し
吉田 哲
週刊コモディティマーケット
コモディティ(商品)をお取引いただく上でのコメント・アイディアを提供するレポートです。金をはじめとした貴金属、原油をはじめとしたエネルギー関連銘柄、とうもろこし・大豆などの穀物な…

2018年原油相場の見通し

2017/12/22
・減産2年目。前半は堅調。6月ごろに波乱が起き、年末にかけて軟調な展開か。
・2018年中に訪れる可能性がある減産実施の再考を迫る3つの理由。米国の再台頭によるサウジのシェア低下など。
・2018年のWTI原油価格のレンジは、42ドル~75ドル(波乱時下値35ドル)を想定(2017年12月時点)
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減産2年目。前半は堅調。6月ごろに波乱が起き、年末にかけて軟調な展開か

 2018年の原油相場がどのような展開となるか、筆者なりに考えてみました。

図:2018年の原油相場のイメージ(イベント、想定されるムードなど)

出所:筆者作成

 2018年は減産2年目の年です。そして、毎年そうであるように、6月前後と12月前後にOPEC(石油輸出国機構)総会があります。

 2018年の前半は2017年の思惑先行・上昇期待ムード、散発する産油国での供給障害などをきっかけとして原油価格は比較的、上昇しやすくなると考えています。

 ただ、6月のOPEC総会前後では、やや波乱含みの展開になると考えています。減産そのものは2018年12月までですが、2017年11月の総会の後に報じられたように、2018年6月の総会で、その時の減産の状況を確認することとなっています。

 この際、減産を取り巻く環境がどうなっているかで、減産実施の是非についての議論がなされ、12月前後に開催される次の総会で減産が出口を迎えることについての温度感が示されるとみられます。

 

2018年中に訪れる可能性がある減産実施の再考を迫る3つの理由。米国の再台頭によるサウジアラビアのシェア低下など

 2018年6月22日(金)のOPEC総会で、残り半年間、減産を続けることにメリットがあるか?ということが議題にあがると考えられます。

 以下は、今年の11月の総会の際に、減産を2018年12月まで延長するにあたり、延長の根拠として報じられた、先進国の石油在庫の推移です。

 OPECは、減産によって先進国の在庫を減少させる効果があるため、その減産を延長させるべきであるとし、減産によって在庫を過去5年平均まで減少させることを目標として掲げました。

図:先進国の石油在庫の推移 単位:百万バレル

出所:米エネルギー省(EIA)のデータをもとに筆者作成

 上図のとおり、2018年にその目標が達成される(減産を継続する理由の1つがなくなる)可能性があります。この点は、減産を中止する議論を高める要因になると考えられます。

 また、以下はサウジアラビアと米国の原油生産量の推移です。

図:サウジアラビアと米国の原油生産量の推移 単位:百万バレル/日量

出所:米エネルギー省(EIA)のデータをもとに筆者作成

 減産中のために生産量を拡大できないサウジアラビアの原油生産量に、生産量が拡大している米国が2018年中に追い着く可能性があります。

 グラフのとおり、2014年の後半、米国の生産量がサウジアラビアに肉薄しました。この時、シェアを維持するためにサウジアラビアはOPECを主導して“減産見送り”という行動を起こしました。

 今回は、減産実施中であるため、シェア維持のための策としては“減産中止”あるいは“減産幅の縮小”という策が検討される可能性があります。この点も、減産を中止する議論を高める要因になると考えられます。

 また、以下はWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油価格の推移です。

図:WTI原油価格の推移 単位:ドル/バレル

出所:米エネルギー省(EIA)のデータをもとに筆者作成

 WTI原油価格は、2017年12月22日時点で、1バレルあたり58ドル近辺で推移しています。2014年後半から2016年初旬にかけて、100ドル近辺から30ドル近辺まで急落しましたが、そこから大きく反発しています。すでに2016年の最安値から90%超、反発しています。

 仮に67ドル近辺まで上昇すれば、急落からの半値戻しを達成することとなります。半値戻し後の原油価格の上昇は、“100ドル時代の高すぎる原油相場”を連想させる可能性があり、むしろ減産を望む声が少なくなる可能性があります。

 この点も、減産を中止する議論を高める要因になると考えられます。

 2018年は2度(6月と12月前後)の総会前後に、減産の方針についての議論が高まり、原油市場は波乱含みの展開になる可能性があると考えています。

 

2018年のWTI原油価格のレンジは、42~75ドル(波乱時 下値35ドル)を想定(2017年12月時点)

 一方で、2017年と同様に1年を通じて、中東、アフリカ、カナダ、米国、欧州等の主要な生産地での供給障害の発生により、一時的に価格が上昇する可能性があります。

 また、減税が決まりさらなる経済の活性化が期待される米国の株価が上昇すれば、リスクを取って運用をするムードが高まります。このようなムードの高まりも、原油価格の上昇要因になり得ます。

 2018年は、前半はさまざまな上昇要因を手がかりとして上値を伸ばすものの、年の中盤以降は“減産の方針転換”が意識され、上値を伸ばしにくいあるいは下落する展開になると考えています。

 特に年の後半ですが、減産の出口が示され、ハードランディングが想定された場合、原油価格は大きく下落する可能性もあると考えています。

 主にOPECの減産に関わる点からの想定ですが、2018年の原油相場のレンジは42~75ドル(波乱時 は下値35ドル)で推移すると考えています(2017年12月時点)。

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