下がらなくなった日本の相対比価~日本経済は変わりつつあるのか?

 日本国内でも物価面で驚きの変化がうかがわれています。消費者物価が総合指数で前年比2%台後半と高い伸びを示しているのは周知の通りですが、実は1970年代後半以降ずっと下がり続けてきた「相対比価」も昨年ごろから下がらなくなり、昨年半ばからは前年比がプラスに転じています(図表7)。

<図表7 日本の相対比価>

(注)消費税の影響を調整済み。
(出所)日本銀行、楽天証券経済研究所作成

 相対比価とは、貿易相手国のインフレ率に対し日本のインフレ率が相対的にどう変化しているかを示している指標で、図表7の相対比価は日本銀行がホームページで公表している実質実効為替レートと名目実効為替レートから、それらの乖離(かいり)率として算出したものです。

 これまでは、貿易相手国のインフレ率に対して日本のインフレ率が相対的に低いため、日本の相対比価はずっと下落してきたのですが(図表7の青線)、足もとではその下落が止まっているのが確認できます。前年比は昨年7月以降、小幅ながらプラスに転じています(図表7の赤線)。これは下落が始まった1970年代後半以降で初めてのことです。

 日本の自動車メーカーの輸出物価や交易条件の動向と併せ、こうした相対比価の動きが日本企業の価格設定行動や日本経済の構造的な変化を示すものなのか、継続的にウオッチしていきたいと思っています。