実質GDPは前年比や水準で見た方が分かりやすい

 以上のように、前期比でGDPを評価するのはとても難しいのですが、消費者物価などで当たり前のように使っている前年比で見れば、比較的イメージしやすくなります。

 図表2に実質GDPと名目GDPの前年比を示しましたが、大ざっぱにいうと、マイナス方向に落ち込んだ局面で景気後退(図のシャドー)になっています。2023年10~12月期は名目GDPが4.9%、実質GDPが1.0%であり、引き続き景気拡大の領域をしっかり歩んでいるようにみえます。

<図表2 日本の実質GDPと名目GDPの前年比の推移>

(注)シャドーは景気後退期。
(出所)内閣府、楽天証券経済研究所作成

 また、新型コロナ禍以前の経済と比べてどの程度回復したかなど、過去との比較において現在の立ち位置を確認する場合は、おそらくGDP水準そのものを見るのが最も適しています。

 図表3は実質GDPと名目GDPを金額ベースのままグラフにしたものですが、実質GDPは2023年10~12月期が557.3兆円で新型コロナ前の2019年7~9月期と同じ。名目GDPは新型コロナ前より6.2%高い水準まで拡大しています。

<図表3 日本のGDPの推移>

(出所)内閣府、楽天証券経済研究所作成