インドの相対的に高い経済成長に注目

 本稿では、国際分散投資で注目されているインド株式の将来性についてご説明します。インド株式に堅調が見込まれている要因として、同国の経済成長期待が相対的に高いことが挙げられます。

 IMF(国際通貨基金)が10月10日に公表した最新の世界経済見通し(図表2)によると、インドの実質GDP成長率は2022年の+7.2%に続き、2023年は+6.3%、2024年も+6.3%と高水準が見込まれています(World Economic Outlook of October 2023)。

 コロナ禍からの回復に加え、労働人口増加、平均所得(収入)増加、個人消費を含む内需拡大、外資企業の進出増加、生産性改善という好循環をエンジンとする経済成長が期待されています。

 インドの総人口は2023年半ばに14億2,860万人となり、中国(14億2,570万人)を超えて世界最多となり、2060年代には17億人程度まで増える見通しです(国連世界人口推計)。特にインドの生産年齢人口(15歳以上64歳以下の人口)の増加ペースは、経済の潜在成長率の上昇に寄与し「人口ボーナス」と呼ばれる局面に入っています。

 モディ首相は昨年8月、「25年後までに(英国からの独立後100年となる2047年までに)先進国入りを目指す」と表明しました。同首相は、「インドは世界の製造業の拠点に成長しつつある」と述べ、デジタル化や若者・女性の労働参加を促すことで、ものづくり国家を目指す「メイク・イン・インディア」構想を推進しています。

 実際、2022年におけるインドの名目GDP規模は旧宗主国の英国を抜いて世界5位となり、2027年にはドイツや日本を抜き、米国と中国に次ぐ「GDPで世界3位」に浮上するとの見方が有力です(IMF)。中長期の視点でインド株式への投資魅力は続くと考えられます。

<図表2>インドの経済成長率予想は相対的に高い

(出所) IMFによる10月時点予想より楽天証券経済研究所作成