追加検証「はじめ低迷・あと上昇」

 ここでもう一つ、シミュレーションをします。価格が取引開始時から低迷し、最終的に上昇したパターンです。これを「低迷・上昇パターン(4)」とします。1,000円で始まり、2023年9月から2063年9月までの40年間、1,000円のまま低迷し、その後の10年で2,000円上昇するパターンです(大暴落パターン(3)の最初の20年間を修正したもの)。

図:大暴落パターン(3)と低迷・上昇パターン(4)の累積資産額の推移 単位:百万円

出所:筆者作成

 低迷・上昇パターン(4)の累積資産の額は、先ほどの三つのシミュレーションで最も資産の額が大きくなった大暴落パターン(3)の約1.5倍になりました。最初の20年間から1,000円で低迷していた方が、収益が大きくなったのです。

 低迷・上昇パターン(4)は、大暴落パターン(3)と異なり序盤の高値からの下落がなかったため(そもそも低迷・上昇パターン(4)は、1,000円で低迷していた状態から積み立てを開始した)、資産の額の低下が見られず、かつ終盤の価格上昇時に、勢いをともなって資産の額が増加しました。「そもそもはじめから安いこと」は、積立投資をさらに有利にするのです。