インフレ・金利上昇はバリュー株に追い風

 2021年以降3年にわたり、日本株でバリュー株優位が続いています。それが、以下のTOPIXバリュー指数、TOPIXグロース指数の動きを見ると分かります。

TOPIXバリュー指数とTOPIXグロース指数の次推移:2009年末~2023年9月(11日)

出所:QUICKより作成。2009年末の値を100として指数化

 バリュー株とは、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)が低い、配当利回りが高いなど株価指標で見て割安な株のことです。金融株・資源関連株・素材市況関連株に、バリュー株がたくさんあります。

 共通点は、インフレが追い風になる「インフレ・メリット株」が多いことです。インフレが高まると、長期金利が上昇するので、金融株も上昇します。特に、低金利で痛めつけられてきた銀行株の上昇が目立ちます。

 グロース優位からバリュー優位への転換点となったのが、2021年です。その年から、世界中でインフレ・金利上昇が進みました。グロース株に逆風ですが、金融・資源関連・素材市況関連部の業績・株価には追い風となりました。

 一方、グロース株は、バリュー株とは逆の動きをしています。グロース株には、IT・ネット関連株やバイオ関連株が含まれます。2016~2020年の5年間、グロース株好調・バリュー株不振が続いていましたが、2021年以降は、インフレ・金利上昇によって売られるようになってきています。

 2023年に入り、生成AI(人工知能)がブレイクする期待から、米国ではナスダック上場の大型成長株が大きく上昇しています。日本にも、生成AI関連の成長株を買う流れは一時広がりましたが、相場の大きな流れを変えるには至っていません。日本は、2023年に入ってから、インフレ率が一段と上昇しており、インフレを追い風とするバリュー株の物色は続いています。

 私は、日本でインフレ・金利上昇はさらに続き、バリュー優位の物色動向は当面変わらないとみています。三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)など、割安な金融株の保有を継続していくべきと考えています。

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