好業績、高配当、優待充実の三拍子そろった欲張り優待株!

 日本の景気は、1ドル140円台の円安やインバウンド(訪日外国人)消費の盛り上がりで、2023年4-6月期の実質GDP(国内総生産)が前期比年率6%の伸びを記録するなど、「静かに」盛り上がっています。

 ただ、「静かに」という形容詞をつけたように、給与の増加が年率3%を超える物価高に追いつかず、素直に好景気を実感するのは難しいかもしれません。

 だからこそ、大切な資産の一部を優待株投資に回して、高額の株主配当金やお得な優待品を受け取ることで、少しでも「豊かさ」を実感したいところ。

 配当利回りが4~5%を超える高配当株の多くは、日本の好景気から恩恵を受けて業績が好調だからこそ、株主に高額の配当金を還元できている面もあります。

 日常生活でなかなか実感できない好景気をリアルに感じたいなら、やはり業績が好調で高配当な優待株に投資するのが近道といえるでしょう。

 そこで、楽天証券の銘柄検索ツール「スーパースクリーナー」で、今期の予想配当額の株価(2023年8月18日現在)に対する利回りが4%超の銘柄を検索しました。

 すると、ヒットした銘柄数は全部で146銘柄。

 

 

 この146銘柄を配当利回りの高い順に並べ、一つ一つの銘柄を楽天証券の「株主優待検索」で検索にかけて9月優待株を探しました。

 さらに楽天証券の「国内株式→株価検索」で株価チャートの値動きや業績の推移もチェックして、有望銘柄の取捨選択を行いました。

 高配当かつ優待充実で今後、株価の上昇にも期待できそうな9月優待株とは?

利回り5%超&クオカード1,000円分のケイアイスター不動産(3465)がNo.1!

 9月優待株の中で今期予想配当利回りが5%を超えていて、配当・優待・株価上昇期待の三拍子そろった銘柄No.1に挙げたいのは、「高品質だけど低価格なデザイン住宅」をスローガンに分譲住宅や注文住宅の販売を行うケイアイスター不動産(3465)です。

 2024年3月期の予想配当額は前期比6円増の1株当たり236円で、2023年9月末株主にはその半分の118円が支払われる予定です。

 100株(投資金額44万4,000円)を保有していると年間で2万3,600円もの配当金がもらえることになり、配当利回りは5.31%に達します。

 株主優待は、9月末に100株保有でクオカード1,000円分。

 配当金額に比べると「おまけ」程度になりますが、配当&優待のダブルでオイシイ銘柄の最有力候補といえるでしょう。

 同社は関東圏で年間数千棟の分譲住宅を販売する「パワービルダー」と呼ばれる建売住宅会社で、2022年3月期までは純利益が毎年倍増するような急成長が続き、株価も2020年4月安値968円から2021年11月の最高値9,370円まで、1年半強で10倍近く値上がりしました。

 その後、成長期待が鈍化したため、株価は5,000円台前後で横ばい推移していますが、2023年4月には関西圏の分譲住宅会社・エルハウジングを子会社化するなど、M&A(買収や合併)を利用した全国展開が新たな成長につながりそうです。

 2024年3月期も20%近い増収予想で、売上高が毎年大きく伸びている急成長企業でありながら、配当利回りが5%を超えているのは株価が割安な証拠。

 クオカード1,000円分や高額な配当金収入を受け取りながら、株価の再上昇に期待できる点が大きな魅力といえるでしょう。

株価上昇の期待大!配当利回り4%超の優待株はこの銘柄!

2.エクセディ(7278)

 1ドル140円を超える円安で好業績が続く業種といえば、海外売上比率の高い自動車会社や自動車部品会社が筆頭候補です。

 自動車のクラッチなどAT(自動変速機)向け部品製造大手のエクセディ(7278)の優待を取得するには1年以上の継続保有が必要ですが、100株以上で一律に株主優待WEBカタログギフトに掲載された3,000円相当の商品が贈呈されます。

 掲載商品はグルメ、キッチン用品、ファッションなど毎回100点以上と品ぞろえも豊富です。

 同社はコロナ禍による半導体不足で自動車の生産が停滞したため、業績が低迷、株価も2021年1月には1,210円の最安値をつけましたが、自律反発。

 半導体不足が解消して2024年3月期の大幅増収増益予想が発表されたことで株価の上昇が加速し、2023年年初から800円以上も値上がりしています。

 2024年3月期の予想配当額は前期比30円増の120円で、配当利回りは4.84%に達します。

 同社は有利子負債が少ない中、2,000億円以上の利益剰余金を抱えており、自己資本比率が68%に達する高財務企業なので減配リスクも低いでしょう。

3.商船三井(9104)

 今期2024年3月期の予想配当利回りは4.54%と上位2社に比べて低いものの、株主優待の充実ぶりから第3位として紹介したいのが海運会社大手の商船三井(9104)です。

 9月・3月末に100株保有で、クルーズ船「にっぽん丸」の旅行代金が10%割引(30日以上のクルーズでは3%割引)になる割引券が2回もらえるほか、9月末株主には国内フェリーサービス「さんふらわあ」の大人運賃が片道5,000円割引となる優待券1枚も贈呈されます。

「さんふらわあ」が就航しているのは、大洗(茨城)~苫小牧(北海道)、大阪~別府(大分)・志布志(鹿児島)、神戸~大分の4航路になります。

 2023年5月には新たな優待の導入を発表。

 毎年3月末に300株(投資金額118万9,500円)以上を2年以上継続保有すると、クルーズやフェリー事業にちなんだ各地の名産品などをセレクトしたオリジナルカタログから3,000円相当の商品を選べる優待も始まりました(2022年3月末までに株を買い2024年3月末まで継続保有した株主から贈呈開始)。

 この新しい優待は単なる船賃割引ではなく、魅力の高い地方特産品がもらえることもあり、かなりお得度の高い魅力的な優待といえるでしょう。

 同社は2022年3月期から2023年3月期にかけて業績を躍進させたコンテナ船の船賃が下落したため、今2024年3月期は前期比5%の減収、73%の最終減益を予想しています。

 ただし、減収減益幅は第1四半期の決算を発表した7月末時点で当初予想よりも上方修正されており、株価もそれを好感して過去10年来の高値更新が続いています。

 株価が上昇し過ぎて高値つかみが怖いですが、同社をはじめとした海運会社は自社株買いや増配など株主への利益還元に積極的。

 たとえ今期は減収減益でも、株主還元姿勢をさらに積極化するはずという投資家の期待感から株価が上昇しているので、それほど心配する必要はないかもしれません。

4.ティーガイア(3738)

 ティーガイア(3738)は携帯キャリアの一次代理店国内最大手で、光通信やモバイル端末の管理・運用ビジネスが安定した収益源になっています。

 同社の株主優待は9月・3月末に100株を半年以上継続保有しているとクオカード1,000円分が贈呈されるというもの。3年以上保有すると倍の2,000円分に増額されます。

 2022年3月期からは携帯販売代理店の手数料低下で2期連続の減収減益が続きましたが、2024年3月期はコスト削減や高収益のモバイルアクセサリーの拡販で、わずかながら増収増益予想になっています。

 株主配当はここ数年、1株あたり75円で変わりません。

 しかし、2024年3月期の第1四半期が大幅な減収減益となり、株価が1,600円台まで下落したため、今期予想配当利回りは4.48%と高水準です。

 成長性という面では他社に見劣りしますが、携帯販売代理店という安定した収益が期待でき、法人向けモバイル事業という成長分野もあるため、株価の下げ止まりに期待したいところです。

5.トピー工業(7231)

 トピー工業(7231)は自動車のホイールや鉱山機械の製造で国内トップクラスの自動車・産業機械部品メーカーで、鉄鋼の自社生産や発電事業も手掛けています。

 同社の優待は交通傷害保険の付保という非常にユニークなもの。

 9月・3月末に100株を保有していると、死亡・後遺障害保険最高100万円、入院特約1日3,000円の交通傷害保険に半年間(9月末株主の場合は翌年1月1日~6月30日)、自動的に加入させてもらえます。

 1,000株(投資金額213万9,000円)以上の保有だと、交通傷害保険に通院特約1日1,000円がつく他、オリジナルカタログギフトから商品を1点選べる優待も2023年3月末から始まりました。

 同社は前期の2023年3月期に配当額を前期比4倍以上に増やし、今期2024年3月期の予想配当利回りも4.11%に達しています。

 今期も自動車の生産回復や資源高による鉱山開発の需要増で業績躍進が続いており、2024年3月期第1四半期の経常利益は前期比6.5倍に到達。

 業績の上方修正や増配に期待できそうな点が大きな魅力です。