中央銀行の多くが、米ドル保有は減ると考えている

 異なる意図を持ち、外貨準備高を管理したり、その中にある金(ゴールド)を保有したりしている先進国と新興国の中央銀行ですが、当該調査では今後の方針を問う質問もなされました。

図:中央銀行全体の外貨準備高(外貨と金(ゴールド))の構成比率(2022年第3四半期末)

出所:WGC(ワールド・ゴールド・カウンシル)の資料をもとに筆者作成

 上のグラフを示した上で、5年後、米ドル、ユーロ、金(ゴールド)、人民元の割合がどの程度になると思うかについて質問がなされました。結果は以下のとおりです(米ドルと金(ゴールド)のみ記載)。

 以下は「米ドル(現在の保有比率51%)」についてです。先進国、新興国ともに、多くがドルの保有比率は低下すると回答しました(先進国と新興国合わせて55%が低下するとした。昨年は42%だった)。

図:5年後、中央銀行の米ドルの保有比率(現在51%)はどうなると思いますか?

出所:WGC(ワールド・ゴールド・カウンシル)の資料をもとに筆者作成

 先進国の中央銀行の半分弱(46%)、新興国の中央銀行の半分強(51%)が、5年後、ドルの保有比率が低下すると考えています。抜粋されたコメントの要旨は以下です。

・グローバルな舞台で他国の重要性が増す中、対米投資は現在より若干減少するだろう。
・過去数十年、準備通貨を多様化させ、米ドルへの依存度を下げることが主流だった。
・多くの中央銀行は、金(ゴールド)だけでなく、ユーロ、円、人民元などの保有を増やすことで、外貨準備高の多様化を積極的に進めてきた。
・米ドルは依然として基軸通貨として支配的である。