ローソンがストップ高

 12日、日経平均が下落する中、ローソン(2651)株が、前日比1,000円(16%)高の7,261円(ストップ高買い気配)と急騰しました。

ローソン株価月次推移:2016年1月~2023年7月(12日)

出所:QUICKより作成

 前日に発表した2023年3-5月期(2024年2月期の第1四半期)決算が、市場予想を大幅に上回るビッグ・サプライズだったためです。3-5月の事業利益は前年同期比64%増の262億円、純利益は同94%増の161億円でした。

 これまでの構造改革とリオープン(経済再開)の効果で、業績好調が予想されていましたが、ここまで急激に利益が回復するとは予想されていませんでした。

 予想以上の利益を出したのは、国内および海外のコンビニエンス事業、エンタテインメント事業です。同社の3-5月期セグメント別利益を見ると、国内コンビニエンス事業のセグメント利益は、前年同期比52%増の199億円となりました。

 エンタテインメント事業は同47%増の19億円でした。海外事業のセグメント利益は2億円の黒字に転換しました(前年同期は28億円の赤字)。

 外出する人が増えて、ファストフード・飲料・店内調理品・化粧品などの売上が増加しました。また、コンサートやスポーツ、レジャーなどのチケット取扱高も伸びました。

 これが、ローソン復活の号砲となると考えます。これまで取り組んできた構造改革の成果がなかなか出ませんでしたが、リオープンによる売上増加と同時に構造改革の成果が出てくることで、今期(2024年2月期)は、年間を通して高水準の利益を稼ぐと予想されます。

 ローソンは、通期の純利益見通しを前期比2.4%減の290億円に据え置きましたが、同85%増の550億円に上振れすると予想します。株価は、同予想に基づきPER(株価収益率)16倍で評価されるとして8,900円まで上昇すると予想します。

 ローソン株は2016年2月に1万280円の史上最高値をつけてから、7年間にわたり下落トレンドが続き、2022年6月には一時4,210円をつけていました。国内コンビニ業界が飽和に達し、新規出店で成長する余地がなくなってから、国内のコンビニには悪材料が続きました。

 人件費上昇、人手不足に対応した省人化投資負担の拡大、深夜営業の減少、コロナ禍、電力料金上昇などで業績低迷が続き、株価の下落が続きました。

 その間、同業のセブン&アイ・ホールディングス(3382)は、セブン-イレブンの米国事業拡大を続けて、利益を成長させていましたが、海外事業の収益化が遅れていたローソンは、国内コンビニ事業の不振を補うすべがありませんでした。

 ただし、その間に取り組んできた省人化投資や商品ラインアップの魅力向上、親会社(三菱商事)との連携強化の成果が、やっと見通せるようになりました。コロナ禍からの回復とともに、利益・株価の回復を生む原動力となると考えます。

リオープン・消費関連株の利益回復期待が高まる

 これから、4-6月決算の発表が本格化します。リオープンで恩恵を受ける内需株の利益回復期待が高まりました。リオープンで業績好調がある程度予想されていますが、ローソンのように想定以上に好調な企業が出てくる可能性もあります。

 外需株については、中国景気の不振や米国景気減速の影響を受けて不振の企業もあると考えられますが、リオープン消費関連株への回復期待は高まりました。