ウクライナ危機の最悪ケースまでは織り込まれておらず、本格反転には時間を要す見通し

 ウクライナ危機の終着点は現時点では全く見えません。仮に、ロシアがウクライナを制圧して新政権を樹立するような状況になったとしても、ウクライナにおいてはその後の紛争の火種が多く残され、世界からは完全に孤立し切った状態に置かれてしまった中、プーチンの次の一手が矢継ぎ早に打ち出される可能性もあります。

 中国との連携強化、欧米との対立激化などに警戒感が強まる恐れもあり、核の使用も含めて、現在の株式相場に最悪のケースまでは織り込まれていないと考えられます。株式市場の本格反転のタイミングは見えにくくなっている状況です。

 また、米国は利上げステージに入っています。ウクライナ情勢悪化を受け、ややタカ派姿勢は緩和されている状況ですが、逆にこれは、想定以上のインフレ高進による中期的なマイナス影響にもつながることになります。

 一段のインフレ懸念が強い現状況下、少なくても、新型コロナの感染拡大時とは違って、金融政策が株価の支援材料につながる可能性は低いといえるでしょう。

 また、ここからは特に製造業において、来年度の業績ガイダンスが警戒されることになりそうです。ウクライナ情勢の先行きに不透明感が強い中、原材料費や物流費上昇による悪影響が読み切れません。かなり慎重な業績見通しになることが市場では織り込まれていきそうです。

 物色の矛先は、引き続きインフレ進行を見据えた資源関連株が中心になりそうです。ただ、これらに関しても、金融市場が一段の波乱に見舞われるような状況となれば、一斉に資金捻出のための利益確定売りに晒される余地もあるでしょう。

 ほかでは、世界的なエネルギー危機が警戒される中で原発の安全性に対する警戒感も強まる状況下、再生エネルギー関連の成長期待などが再燃してくる可能性はあるでしょう。

 政権が経済活動の再開にかじを切り始めていることから国内リオープニング関連なども注目されます。特にGoTo政策は、即効性のある景気対策である側面に注目したいところです。3月末の配当権利取りの動きなども注目されますが、ガイダンス懸念などが残るため、銘柄によっては権利落ち後の調整長期化も意識されます。

 高利回り銘柄物色に関しても、海運を含めた資源関連株などに物色は絞られる可能性があります。なお、あくまで中期的な見方ですが、原材料費上昇や物流費の上昇は製品価格に転嫁できる企業が多いとみられ、この観点を重視するのであれば、ガイダンスが嫌気された銘柄の押し目買いなども妙味となってきます。