2月雇用統計の予想

 BLSが3月4日に発表する2月の雇用統計は、市場予想によると、NFPは+40.0万人、失業率は3.9%。平均労働賃金は、前月比+0.5%、前年比+5.8%の予想となっています。

 昨年1月から12月までの雇用者増加者数は月平均49.4万人なので、労働者が雇用市場に戻るペースは強いとはいえない。一方で、賃金を引き上げることで「残り少ない」労働者を確保しようとするため、平均労働賃金の強さが目立ちます。

 いったん解雇すると次に採用することが難しくなるため、たとえ仕事がなくても人材を手元に置いておく会社が増えているようです。その意味では、雇用統計の数値は、「雇用が増えた」というよりも「解雇が減った」という視点から分析するべきかもしれません。

 FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策は、雇用安定から物価安定を重視する政策に完全に切り替わっているので、失業率やNFPが多少悪化したところで、利上げを中止するということにはなりません。ウクライナ戦争も、エネルギー価格の高騰という形で表れている限り、利上げを見送る材料にはならない。

 パウエル議長は、雇用促進とインフレ対策のトレードオフ(失業率を低めようとすれば物価の上昇圧力が強まり、物価を安定させようとすれば失業率が高まる)において、インフレが可処分所得を圧迫し、政策が支援すべき人々にダメージを与えているかどうかが、FRBの判断基準だと述べています。

 その結果、米国経済はもう十分に回復したので、これ以上流動性を増やすのは適当ではないとの結論に至ったのです。