先週の結果

過去最大の経済対策発表も、日経平均は「近くて遠い3万円」

 先週の予測では、米国株式が堅調であれば、日経平均は3万円台にのせることができるか注目とする一方で、アメリカ経済のインフレ加速で株価が軟調な場合は、3万円台のせは難しいとしました。

 最近の日本株式の相関的な動きをみると、米株が上昇しても日経平均は上昇しないためです。その例として、最近の米株3指標の史上最高値更新に、日経平均はほとんど連動していません。逆に米株下落の場合、日経平均は軟調な動きとなっています。

 先週のNYダウの動きについて、11月8日までは、3指標そろって最高値更新の動きとなっていましたが、その後はNYダウが8日の3万6,565ドルをピークに3日連続安となって日足が10月1日の安値からの引線が下値支持線を割り込んでおり、日経平均は週の前半こそ、16日まで4日続伸し、2万9,960円まで上昇するものの、3万円接近で上値が重くなり、その後は18日には▲285円の2万9,402円まで下げ、終値では▲89円の2万9,598円と2日続落となりました。

 週末19日は、NYダウは反落でしたが、前日の米国でフィラデルフィア半導体指数が大きく上昇し、ナスダックが最高値更新となったことで、東京エレクトロンと半導体関連株が上昇し、日経平均は+147円の2万9,745円で引けました。3万円台への接近もこの日はありませんでした。

 チャートの動きとしては、先週も「近くて遠い3万円」でした。2万9,000~3万円のレンジの中で、11月4日に2万9,880円まで上昇し、ここからの下落で11月11日に当面の下値として2万9,040円を確認したことで、先週は2万9,880円を終値で上回れば3万円台のせが期待できるところでした。

 16日に一時2万9,960円まで上昇しましたが、3万円接近での売り圧力が強く、終値は2万9,808円と2万9,880円を突破できませんでした。

 ここからいったん下値を探る動きとなり、18日には2万9,402円まで下げましたが、午後2時に日本経済新聞社の電子版に19日に政府が経済対策費として過去最大の55.7兆円規模の財政支出をするとの報道があり、一時2万9,715円まで上昇してプラスに転じる場面がありましたが、戻り待ちの売りに押され▲89円の2万9,598円で引けました。この動きをみる限り「近くて遠い3万円」は、もっと明確な材料待ちということになります。

 週末の米国市場は、マチマチの動きとなりました。NYダウは▲268ドルの3万5,601ドルと3日続落の一方で、ハイテク株主体のナスダックは2日連続の最高値更新となりました。NYダウの下げは欧州での新型コロナの感染再拡大を嫌気しています。

 例えば、オーストリアでは22日から飲食店などを閉鎖するロックダウンの再開、ドイツでは病床のひっ迫懸念が出始めワクチン未接種者への行動規制が始まっています。

 この状況をみると日本の感染者の激減が信じられず、このまま大丈夫なのか懸念はあります。米国市場では、こうした動きが投資家心理を冷やし、幅広い銘柄で売りが先行しました。NYダウが下げた理由です。

 また、エネルギー需要も減少するとの思惑から21日は原油価格も大幅下落となりました。シカゴの日経先物は▲155円の2万9,625円でした。