空運業への投資は避けるべきと判断

 空運業界は、「旅客輸送」と「航空貨物」で明暗を分けています。「人流」減少で大ダメージを受けつつ、「物流」増加で大きな恩恵を受けています。旅客輸送では巨額の赤字を計上し、航空貨物で空前の好況を謳歌しています。定期船の貨物輸送が滞っていることから、代替輸送手段として高価でも航空便を使う荷主が増えているからです。輸出入貨物を運ぶ貨物便が好調です。
ただし、日本航空(9201)ANAホールディングス(9202)の主力事業は、旅客輸送です。コロナ禍で人の移動制限が続いているため、厳しい業績が続いています。今後、国内の旅客需要は回復が見込まれますが、国際便の本格回復までには相当長くかかる見通しです。

 コロナが完全に終息しても、業績の戻りは鈍いと考えられます。リモート会議の普及でビジネス客の戻りが鈍いと予想されるからです。従来から続いている、LCC(低コスト航空会社)との競争もあり、収益は伸び悩むと考えられます。したがって、短期的にも中長期にも日本航空とANAの投資魅力は乏しいと考えています。