「人流」は衰退、「物流」は成長

 ワクチンの普及でコロナ禍からの経済復活が顕著になってきました。それに伴い、街に人出が戻りつつあります。ただし、仮にコロナが完全に終息しても、「人流」が完全に元に戻るとは考えられていません。「リモートワーク」「リモート会議」「Eコマース」「食事宅配」「オンラインセミナー」「オンライン学習」「オンライン診療」などが普及し始めていることにより、コロナ終息後も、「通勤」「出張」「買い物」などの「人流」は、構造的に減少すると考えられます。特に、海外出張や国内の長距離出張は、大幅に減ると思われます。ビジネス旅行で収益をあげてきた航空・ホテル業界には厳しい環境が続きそうです。

 このように、コロナが去っても「人流」(人の移動)の衰退は続くと予想されます。一方、ますます拡大すると考えられているのが、「IT活用」と「物流」です。IT活用によって人が移動しないで済むようになります。ところが、人は移動しないで済んでもモノは移動しなければなりません。モノがどんどん移動する時代になると考えられます。

 その物流を担っているのが、陸運・海運・倉庫などの物流産業です。オールド産業と見られている産業です。IT化できない人手に頼らざるを得ない作業が多いことが、オールド産業です。そのイメージは半分正しく、半分は間違えています。ハイテク倉庫では人手を介さずに、仕分けやパッケージングができる部分が少しずつ増えてきています。宅配・トラック輸送はまだまだドライバー不足が深刻です。将来、高速道路などで自動運転が普及していくと考えられていますが、実現までに時間がかかりそうです。

 ただ、オールド産業と思われていることからこそ、最高益を更新していても、PERなどで低い評価のままとなっていることが多いのが、物流産業です。今日は、倉庫産業に焦点を合わせて話しをしますが、その前に、海運業・空運業についてもコメントします。