荒れる日経平均、NYダウより値動きが荒い

 日経平均株価の乱高下が続いています。日経平均を動かしているのは、過去30年間、外国人投資家です。外国人は、日本株を売るときは下値を叩いて売り、買うときは上値を追って買ってくるために、日経平均の値動きを荒くしています。

 外国人投資家から見ると、日本株は「世界景気敏感株」です。世界中で何か不安材料が出ると、とりあえず外国人は日経平均先物を売ります。日本にとってあまり関係のない地域で紛争が起こっても、世界の金融市場に不安が広がれば、外国人の売りで日経平均が下がります。

 2013年5月バーナンキ・ショック【注】が起こった時も、震源地の米国株があまり下がらなかったのに、日経平均は直前高値からその後の安値まで21%も下落しました。

【注】バーナンキ・ショック
 2013年5月22日、当時FRB(米連邦準備制度理事会)の議長だったバーナンキ氏による「将来、金融緩和を縮小する可能性がある」との発言が伝わると、世界中で株が急落しました。この時、主要国株価指数の中でもっとも下落が大きかったのが日経平均でした。NYダウ(ダウ工業株30種平均)の下げは相対的に小幅でした。

 外国人によって日経平均が乱高下するのは今も続いています。中国恒大の不安、米国債務上限問題がこじれる不安などが高まると、欧米株があまり下がらなくても、日経平均は外国人売りで大きく下がります。

 そして、不安が薄れたときには、外国人の買い戻しで日経平均が大きく上昇します。日経平均インデックスファンドに積立投資をしている人には、落ち着かない日々が続いているかもしれません。

 私は、日本株は今も割安で、積立投資を続けることで、中長期で資産形成に寄与する資産と考えています。ただ、非常に値動きが荒く、投資タイミングをはかるのが難しいアセット(投資対象)です。

 アベノミクスがスタートした2013年以降の日経平均とNYダウの値動きを比較したグラフをご覧ください。

日経平均とNYダウの値動き比較:2012年末~2021年10月20日(NYダウは19日まで)

出所:QUICKより作成。2012年末の値を100として指数化

 日経平均がNYダウより値動きが荒いことが、わかります。

 日経平均は、アベノミクスが始まった2013年を起点としてNYダウと比較すると、NYダウを上回る上昇率となっています。ところが、下げ局面(上のグラフで1から9まで番号をつけた所)だけ見ると、日経平均はNYダウより大きく下落しています。

 日経平均は、上げるときも下げるときもNYダウより値動きが大きく、それだけにいつ買ったら良いのか、タイミング判断がむずかしいと思います。