景気後退の乗り切り方:私がファンドマネージャー時代にやってきたローテーション投資

 ファンドマネージャー時代、私は公的年金・投資信託などの日本株運用を担当していました。ファンドによってルールは異なりますが、ほとんどすべてのファンドで「常時、日本株で高位の組み入れを維持する」という条件がついていました。ファンドにより、99%以上、95%以上、90%以上などのルールがありました。

 景気失速・後退が先行き懸念されるようになった時は、以下、3つの対応をとっていました。

【1】許容されている範囲でキャッシュを持つ
主要ファンドで5%くらい、一部ファンドで10%が最大ですが、許容されている範囲でキャッシュを持ち、暴落に備えました。

【2】ディープ・バリュー株の保有を増やす
バリュー(割安)株は、成長期待が必ずしも高くないので、成長株が買われる相場であまり上昇しない「つまらない」株と思われています。ただし、その分下げ相場に強いこともあります。先行き、景気が怪しいと思う時は、ただのバリュー株ではなく、ディープ・バリュー株(株価指標で見て非常に割安な株)の保有を増やして、ポートフォリオの下値抵抗力を高めるようにしました。

【3】景気敏感株の比率を下げて、ディフェンシブ株の比率を高める
 景気敏感株(電機・自動車・機械・化学・鉄鋼・石油・海運など)の組入比率を低下させ、ディフェンシブ株(情報通信・医薬品・食品・生活必需品を扱う小売業など)の組み入れ比率を高めるようにしました。

 逆に、景気悪化の終了が近く、先行き回復が期待される時は、ディフェンシブ株の組み入れを減らし、景気敏感株の組み入れを増やします。景気循環を少しだけ先取りするローテーション投資をやってきました。