Danger Zone

 先週発表された米国の5月CPI(消費者物価指数)は、前月比+0.6%、前年比+5.0%という強い結果でした。特に目立ったのは中古車の価格で、4月は+10.0%、5月+7.3%と2ヵ月連続の大幅上昇を記録しました。

 それでも、「インフレは一過性」というのが、FRBやイエレン財務長官の見解。 物価上昇は、中古車など一部の商品に限定しています。インフレが広範に発生しているならば、金融政策の介入が必要。しかし局地的な発生にすぎなければ、時間が経てば自然に沈静化する、というのがFRBの考え。

 中古車価格の高騰は、半導体チップの供給不足で新車生産が滞るなか、コロナ禍で自動車通勤のニーズが増えたことが理由。サプライチェーン目詰まりが解消すれば、そしてワクチン接種拡大で電車通勤が増えてくれば、FRBが言うようにインフレも沈静化に向かう可能性が高い。

 とはいえ、インフレが本当に収まるかどうかは、来年になって初めてわかること。どんどん上がる物価を目の前にして平気でいられる人は少ない。

 FRBも、インフレはすぐに収まるから何もしなくていい、という姿勢から最近では「インフレに対処するツールは持っている」と微妙に発言が変化しています。これがかえって市場の不安を煽っていることも事実です。