米景気過熱なら日経平均の高値更新が実現しないリスクも

 リスク・シナリオ(予想が外れるシナリオ)も考えておく必要があります。一番恐れているのは、今年、米国が景気対策をやり過ぎて、年後半に米景気が過熱してしまうリスクです。そうなると、来年反動で米景気が減速、あるいは失速するリスクが意識されるようになります。そうなってしまうと、景気は好調でも株は上がらなくなってしまいます。そして、来年になって実際に米景気が減速する時には、株は下げトレンドに入る可能性があります。

 コロナ禍があまりに急激な戦後最悪の落ち込みだっただけに、そこからの景気回復は急激な山となる可能性があります。米国ではワクチン接種が進み、リベンジ消費(コロナ禍でできなかった消費がまとめてドンと出てくること)が盛り上がる中、1.9兆ドルの財政出動も出ます。大規模な金融緩和も当面、継続される見通しです。なんでもかんでも、いい材料を今年中にすべて出し尽くしてしまうリスクがあります。

 2021年にあまりに巨額の財政出動をやってしまうと、来年、2022年に財政のガケ(景気対策としての財政出動が大きく減少すること)が発生して景気の押し下げ要因となるリスクが高まります。巨額の財政出動は何年も続けてやることはできません。今年、米景気が回復してしまうと、来年は財政出動を大幅に減らさねばなりません。そうなると財政のガケが起こります。

 米国および日本の株価上昇が続くためには、米景気が過熱することなく、巡航速度での拡大が今年・来年と2年続くことが必要です。