あなたが最後にSONY製品を買ったのは、何年前ですか?

 たいていの投資家は「僕は日本人だから、日本株しか投資しない」という主義です。これは自ら良い会社への投資機会をグッと減らしてしまう残念な先入観です。なぜなら世界には良い会社がいっぱいあり、何も日本だけに投資対象を限定する理由はどこにもないからです。

 一例として、「MADE IN JAPAN」の代表格であるSONY製品を、あなたが最後に買ったのは、何年前ですか?

 もし皆さんが最後にSONY製品を買った年を思い出せないのなら、たぶんSONYはここ数年、ユーザーが熱烈に、ないしは切実に欲しがるような製品を作ってこなかったのだと思います。また、これはSONYが成功を繰り返し実現できる企業ではなくなったことを意味します。

 スターバックスがスランプに陥った際、ハワード・シュルツCEOが見せたような気迫を、今のSONYの経営陣は持っているでしょうか?

 良い企業や良いブランドには、国籍はありません。それが証拠に「俺は日本人だ。だから外来ブランドであるスターバックスに行くのはムカつく」という人は少ないと思います。

 むしろ我々は、限られたお小遣いの中から、ラテを買い、スマホを選ぶのだから、それらを買うたびに、最も自分に満足を与えてくれる製品やサービスを選ぶと思うのです。それは日常の些細(ささい)な行動を通じて、企業の製品やサービスを支持するということで、絶え間なく「投票」しているのと同じです。

 株式投資も、ある企業の株を買うということを通じて、その企業への支持を表明しているわけですから、これも一つの投票行動です。スマホを選ぶときは、とてもブランドにうるさいくせに、株になると理屈で説明できない「日本人投資家」になるのは、一体、なぜですかね?

 くどいようですが、ユーザーの立場からの「投票」と、投資家としての「投票」が全くチグハグではおかしいです。