株式や投資信託への投資との違いは「共感」。経済的リターンだけでなく社会問題の解決を狙う!

――世の中には上場株式や投資信託など、さまざまな投資対象がありますが、それと投資型クラウドファンディングの違いはなんでしょう?

小松 一番大きな違いは「株式市場を通すか通さないか」だと思います。株を買うことは企業の資金調達に巡り巡って貢献しているのは確かですが、市場ですでに流通している株を買う場合、投資したお金が直接、企業に行くわけではありません。

 例えば、上場している音楽会社に10万円を投資してその会社の株主になったからといって、その10万円が音楽会社に所属する自分の好きなアーティストのレコーディング費用になるとは限りません。だったら、直接、そのアーティストのCD製作に限定して投資したいとファンなら思うかもしれませんよね。

 少額ずつ資金を集めていく、という点では投資信託とも似ていますが、運用をプロに任せるのではなく、「自分がどんな事業に共感して投資するのかを自分自身で決める」のがクラウドファンディングのいいところだと私は思います。

 既存の金融市場をあえて通さないことで、自分の「好き」「理想」「共感」にダイレクトにお金を使える、それがクラウドファンディングに投資することの「特権」といえるかもしれません。

――2020年から今にいたる新型コロナウイルス感染症のまん延では、PCR検査を誰でもすぐに受けられる体制の構築やオンライン診療の普及、感染の有無を追跡できるアプリの開発、重症患者の病院受け入れ態勢の拡充などを求める声が広がりました。

 ある意味、そうした「社会的ニーズ」を解決するために自らのお金を投資してみる、という発想が投資型クラウドファンディングの新しい試みといえるのかもしれません。単に「投資してお金が増えた」というだけでなく、「自分がお金を投資することで社会全体が少しでもよくなる」ことを目指したいなら、「投資型クラウドファンディング」なのかもしれません。

■クラウドファンディング入門
前編:クラウドファンディングって?自分の「共感」に直接投資できる!
中編:投資型クラウドファンディングの選び方:株と値動きが違う「分散投資効果」も
後編:社会をみんなで守るインパクト投資。ローカル鉄道、酒造、貧困国支援まで

プロフィール

この方に聞きました

小松 真実さん
ミュージックセキュリティーズ
代表取締役


早稲田大学大学院修了。2000年12月ミュージックセキュリティーズ合資会社設立、2001年11月ミュージックセキュリティーズ有限会社設立、2002年5月株式会社化し代表取締役就任。2013年ダボス会議で知られる世界経済フォーラムよりYoung Global Leadersに選出。2014年一般社団法人 第二種金融商品取引業協会理事に就任。