注目の銀行株決算

 私が銀行株の決算に注目している理由は、企業向け融資や個人のクレジットカード債務の焦げ付きの状況を知ることができるからです。

 その点、今回の決算では各行とも貸し付けの内容は至って健全でした。

 FRB(米連邦準備制度理事会)が政策金利を0~0.25%という低い水準に据え置いている影響で、企業は安いコストで、どれだけでも借金の借り換えを行うことができています。法人融資の焦げ付きは新型コロナで大打撃を受けた一部サービス業を除き、ほとんど発生していません。

 このため、例えばJPモルガン・チェース(JPM)は焦げ付きに対する引当金を取っていたのですが、それを大部分、解除しました。

 個人の家計の内容も驚くほど健全です。

 新型コロナで、消費者は支出を切り詰め、借金を返済し、貯蓄を進めています。普通、不況になるとクレジットカード債務の焦げ付きが多くなるのですが、今回は全然そういう兆候はありません。

 むしろ、銀行各行の貸借対照表を見ると、預金がどんどん増えていることが分かります。つまり消費者はとても保守的で、手堅いお金のやりくりをしているのです。

 年末に第2回目の新型コロナ景気支援策として、富裕層を除く米国民全員に600ドルの見舞金が送られました。多くの消費者はそれを貯蓄に回すとみられています。

 このことからも、消費者向け融資は低水準の焦げ付きを今後も維持すると思われます。

 各行の決算の結果をまとめておきます。

銘柄
(コード)
EPS予想 EPS結果 売上高予想
(ドル)
売上高結果
(ドル)
JPモルガンチェース(JPM) $2.65 $3.79 287.4億 292.2億
ウエルズファーゴ(WFC) 63¢ 64¢ 180億 179.3億
シティグループ(C) $1.31 $2.08 167.1億 165億
バンクオブアメリカ(BAC) 54¢ 59¢ 207.6億 201億
トゥルーイスト(TFC) 96¢ $1.18 53.9億 56.5億