バイロン・ウィーン氏による「2021年サプライズ10大予想」
2021年サプライズ10大予想 | |
1 | トランプ氏が2024年の米大統領選をにらみ、自前のテレビ局を立ち上げ、インタビュー番組でプーチン露大統領を招く。インタビューはTV史上で最大の視聴者数を記録 |
2 | 米中が建設的な外交・通商関係を回復し、中国A株が新興国市場のけん引役に |
3 | 5~10種類のワクチンが寄与し、米国は5月31日のメモリアル・デーまでにある程度の正常化に戻る。7月には東京五輪が観客を入れて開催される |
4 | 消費者への恩恵が優先され、グーグルやフェイスブックに対し、欧州を除き本格的な解体への圧力は低下 |
5 | サービス株・航空株が力強く上昇し、米国名目成長率は2021年に6%、失業率は5%へ低下、2010~2020年を超え史上最長となる景気拡大期が始まる |
6 | 金融緩和策継続に合わせ、FRB(米連邦準備制度理事会)と米財務省はMMT(現代貨幣理論)を公然と支持するようになり、インフレがぜん進。金は上昇し、暗号資産の評価が上がる |
7 | 経済活動の正常化に伴い、WTI原油価格は65ドルまで上昇、エネルギー関連株は、2021年で最良のパフォーマンスを達成へ |
8 | 米株式市場は年前半に20%近い調整が入るが、年後半にはS&P500は4,500に上昇、大型テクノロジー株は年内出遅れ組に |
9 | 米10年債利回りは経済成長の拡大を受け2%に上昇、ただインフレ上昇により実質金利はゼロ近辺に。FRBは住宅市場と自動車市場の支援を目指し、国債の買い入れ年限を長期化する |
10 | ドル安は反転。日欧の債務拡大や低成長を嫌う投資家がドル資産を選好 |
ウィーン氏は今年も米国経済や株について、まとめると下記のように強気の見方です。
- 米経済は6%成長、失業率は5%に低下し、史上最長の景気拡大期が開始
- ドル安反転、株は20%下落後、S&P500は4,500に上昇。米10年債利回りは2%に上昇
- WTI原油価格は65ドルに上昇、金は上昇、暗号資産も上昇
ただ、これらの強気の見方は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響がワクチンの寄与によって、5月末までに正常に戻ることが前提になっているようです。しかし現在、ワクチン接種は始まっていますが、接種スピードが当初予定よりもかなり遅くなっています。
WHO(世界保健機関)によると、新型コロナの感染拡大が抑えられる集団免疫の達成には、人口の60~70%が免疫を獲得する必要があるとされています。つまり、正常に戻るためにはあと4カ月半で米国民の60~70%が、2回の接種ができるかどうかということにかかっています。
しかし、現在の接種率はまだ5%にも届いていない状況のため、正常に戻るのはかなり後ろ倒しになるかもしれません。そうなると、ウィーン氏の予想の時期がずれていき、米経済の6%成長も、株の回復も、米長期金利の上昇も、そしてドル安への反転も後ろ倒しになっていくことが予想されます。