米国株市場:NYダウは上昇に陰り、NASDAQは好調

 最後に米国株市場についても見ていきます。

■(図4)NYダウ(日足)とMACD(2021年1月22日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 NYダウ平均株価についても、日経平均と同様に、下抜けた5日移動平均線を回復し、バイデン米大統領の就任式が行われた20日(水)には史上最高値を更新しています。

 ただし、株価水準自体は3万1,000円台から大きく上振れておらず、下段のMACDについても、MACDとシグナルのクロスが繰り返し出現しており、上昇の勢いに陰りも見えています。

 その一方で、好調さを保っているのは米NASDAQです。

■(図5)米NASDAQ(日足)のボリンジャーバンドとMACD(2021年1月22日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 NASDAQは、昨年の11月下旬以降、ボリンジャーバンドの「バンドウォーク」が時折中断をはさみながら出現し、上昇基調を保っている他、MACDについても、先週の値動きでシグナルを上抜けており、かなり強い印象です。

 以上を踏まえると、日米ともに決算を受けてさらに上昇していけるかが今週の焦点であることを再確認させられます。これまでの相場地合いが継続できれば、株価の一段高が期待できる反面、ハイテク・ITなどのグロース株については、すでに企業業績の上振れ期待を先取りしているという見方もありますので、内容次第では材料出尽くしによる利益確定売りに押される銘柄も出てきそうです。そのため、幅広い銘柄が買われる状況になれるかどうかがカギになります。

 さらに、気掛かりな点としては、最近になって中国での新型コロナウイルス感染に関する報道や、東京五輪の開催に関する観測の報道が増えてきていることです。中国のコロナ対応は日本と比べてもかなり抑制できている他、先日発表された2020年の中国GDPは主要国の中で唯一プラスを維持しているなど、現時点では大きな相場の懸念材料にはなっていませんが、これから春節を迎えるタイミングで感染状況がさらに悪化してしまったり、五輪開催についても開催が困難となれば、「中国需要の回復」と「五輪開催」という好材料シナリオの前提が後退することになるため、今後の動向に警戒しておく必要がありそうです。