日経平均は方向感に欠けるもみ合い

 先週の国内株市場ですが、週末1月22日(金)の日経平均は2万8,631円で取引を終えました。前週末終値(2万8,519円)からは112円高、週足ベースでも4週連続の上昇でした。

 1月の最終週となる今週は、日本電産や東京エレクトロン、ファナック、アドバンテスト、村田製作所など、国内企業の決算発表が多く予定されている他、米国でもマイクロソフト、フェイスブック、アップル、テスラといった注目企業の決算が相次ぎ、本格化する日米の企業決算の動向をにらみながらの展開が中心となります。米国では決算以外にもFOMC(米連邦公開市場委員会)や10-12月期GDP(国内総生産)速報値などの発表も控えており、何かと注目イベントが多い週になります。

 果たして今週の日本株は決算材料を糧に株価水準を切り上げていくのでしょうか? いつもの通り、足元の状況から確認します。

■(図1)日経平均(日足)と移動平均線乖離率(25日)(2021年1月22日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 あらためて、先週の日経平均の値動きを振り返ると、週初の18日(月)に5日移動平均線を下抜けるスタートとなったものの、翌19日(火)にはすぐに回復し、以降も週末まで5日移動平均線をおおむねキープする展開となりました。

 その5日移動平均線の傾きが横ばいへと緩やかになっている他、下段の25日移動平均線との乖離(かいり)率を見ても、+5%あたりを上下する動きが続いており、全体的に方向感に欠けるもみ合いが続いた印象です。

決算の動向次第で上昇に勢いが出る?

 次に、日経平均のトレンドについても確認します。

■(図2)日経平均(日足)のボリンジャーバンドとMACD(25日)(2021年1月22日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図2は、日経平均(日足)のボリンジャーバンドとMACDの推移です。

 先週の日経平均は、ボリンジャーバンドの+2σ(シグマ)と+1σの範囲内で推移している他、MACDもシグナルと共に+500円辺りでの横ばいが続いています。前回のレポートでは、「かぶせ線」の出現など、高値警戒のサインについて言及し、実際に、上値が重たくなっていましたが、かといって弱気に転じたというよりは、「ひとまず一服して様子をうかがっている」感があります。

 そのため、今後の決算の動向次第では、昨年11月中旬の時のように、上昇に勢いが出てくる可能性があります。当時は直近高値の2万6,000円台を超えて、一段高となりましたが、足元の直近高値(1月14日の2万8,979円)も、ほぼ2万9,000円台の節目であるだけに、同じようなパターンが再現されるかもしれません。

マザーズ指数は株価水準切り上げ。新興株市場に注目が集まる

 また、先週のマザーズ指数は株価水準を切り上げ、昨年12月高値を超えてきています。日経平均やTOPIX(東証株価指数)がもみ合っていた中で、資金が新興株市場に向かっていたことがうかがえます(下の図3)。

■(図3)マザーズ指数(日足)の動き(2021年1月22日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 企業決算を機に、しばらくは日経平均やTOPIXの方に再び視線が向かいそうですが、2月に入るとIPO(株式の新規公開)が増え始めますので、新興株市場が注目される場面が増えそうです。

米国株市場:NYダウは上昇に陰り、NASDAQは好調

 最後に米国株市場についても見ていきます。

■(図4)NYダウ(日足)とMACD(2021年1月22日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 NYダウ平均株価についても、日経平均と同様に、下抜けた5日移動平均線を回復し、バイデン米大統領の就任式が行われた20日(水)には史上最高値を更新しています。

 ただし、株価水準自体は3万1,000円台から大きく上振れておらず、下段のMACDについても、MACDとシグナルのクロスが繰り返し出現しており、上昇の勢いに陰りも見えています。

 その一方で、好調さを保っているのは米NASDAQです。

■(図5)米NASDAQ(日足)のボリンジャーバンドとMACD(2021年1月22日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 NASDAQは、昨年の11月下旬以降、ボリンジャーバンドの「バンドウォーク」が時折中断をはさみながら出現し、上昇基調を保っている他、MACDについても、先週の値動きでシグナルを上抜けており、かなり強い印象です。

 以上を踏まえると、日米ともに決算を受けてさらに上昇していけるかが今週の焦点であることを再確認させられます。これまでの相場地合いが継続できれば、株価の一段高が期待できる反面、ハイテク・ITなどのグロース株については、すでに企業業績の上振れ期待を先取りしているという見方もありますので、内容次第では材料出尽くしによる利益確定売りに押される銘柄も出てきそうです。そのため、幅広い銘柄が買われる状況になれるかどうかがカギになります。

 さらに、気掛かりな点としては、最近になって中国での新型コロナウイルス感染に関する報道や、東京五輪の開催に関する観測の報道が増えてきていることです。中国のコロナ対応は日本と比べてもかなり抑制できている他、先日発表された2020年の中国GDPは主要国の中で唯一プラスを維持しているなど、現時点では大きな相場の懸念材料にはなっていませんが、これから春節を迎えるタイミングで感染状況がさらに悪化してしまったり、五輪開催についても開催が困難となれば、「中国需要の回復」と「五輪開催」という好材料シナリオの前提が後退することになるため、今後の動向に警戒しておく必要がありそうです。