解雇規制の議論本格化。勉強・健康ブームが来る?

5.コンテンツはVRに注目

 リアルでの情報発信やイベントが難しいので、YouTubeなどの動画配信サービスを利用した発信が増えています。情報発信が容易になると視聴者側の選択肢が増えるというメリットがある一方、どうしてもコンテンツが玉石混交になるというデメリットがあります。ビジネスとして動画の付加価値を高めていくにあたって、来年は差別化・高度化したコンテンツ、特にVRが増えそうです。

 コンサートや海外旅行などの代替として需要がありますし、リアルな空間よりもバーチャル空間の方が一度にたくさんの集客ができます。5Gの通信網整備を見越してコンテンツ開発も進みそうです。ゲーム業界でもPS5の普及でVRに弾みが出るかもしれません。

6.解雇規制緩和の議論が本格化

 目下、失業率は上昇を続け、10月の完全失業率は3.1%になりました。これだけのショックの割にはまだ低い水準にありますが、雇用調整助成金など様々な支援策があっての数字なので、実態はもっと悪いことになります。

 一方、こうした支援で失業を免れているのは、主に正社員。正社員というインサイダーとそれ以外のアウトサイダーの格差が広がっているうえ、中高年の雇用を守るために、若年層、特に新卒にしわ寄せがきています。

 こうした対立軸に加え、ゾンビ企業が人材を活用できず、不況からの回復を遅くするという指摘もあります。事業承継や中小企業再編の議論とともに日本型雇用慣行の是非、とくに解雇規制をめぐる議論が本格化しそうです。

7.社会人の勉強ブーム到来

 在宅勤務が増えて通勤時間が減った分、今年はビジネス書が売れたようです。また、様々なウェビナー(Webを使ったセミナー、オンラインセミナー)が開催されました。

 当初は物珍しさや新しい交流の機会としての利用が多かったようですが、勤務先あるいは自分のキャリアに対する不安もあって、来年はより実践的な内容や高度な内容を勉強するニーズが増すと思います。

 オンラインに特化することで格安の資格試験講座を提供する事業者が伸びています。また、無料で誰でも視聴できる大学の講義の動画配信が増えています。6.で述べた日本型雇用慣行の議論もあり、社会人の勉強ブームが来そうです。

8.健康志向の高まりは様々な業界に波及

 在宅勤務による運動不足や体重の増加、また、こうした情勢なのでストレスに悩まされる方が増えています。

 日本は医療機関へのアクセスが容易で、医療費の自己負担も少ないことから、予防医療への関心が薄かったのですが、コロナ禍で潮目が変わりつつあります。食事、運動、睡眠など様々な分野で情報発信が増え、オンラインによるカウンセリングも広がりました。

 また、新型コロナウイルス重症化の遺伝的リスク因子はネアンデルタール人から受け継いだと考えられるという、ネイチャーの論文を機に遺伝子検査に関心を持つ方も増えました。日本はバイオもヘルステックも遅れ気味ですが、逆に言えば、伸びしろが大きい分野でもあります。